研究課題/領域番号 |
16K09270
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研究機関 | 明治国際医療大学 |
研究代表者 |
福田 文彦 明治国際医療大学, 鍼灸学部, 教授 (80238485)
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研究分担者 |
山崎 翼 明治国際医療大学, 鍼灸学部, 助教 (70588277)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | うつ病予防 / 慢性疲労 / 慢性疲労モデル動物 / 労働者 / 鍼通電刺激 / セルフケア |
研究実績の概要 |
うつ病患者の増加やそれにともなう社会的コストの増加は、大きな社会問題である。うつ病の前段階である慢性ストレスによる心身の不調や慢性疲労が改善されればうつ病の予防は可能である。そこで、本研究では、鍼・灸刺激によるうつ病予防効果を基礎的に追及し、臨床へ応用する事を目的とする。 基礎研究(動物)では、SD系ラット(7週令)を用いてTanaka (Neurosci Lett. 2003)の報告を参考に水温23度の水を2.2cm張ったケージで5日間飼育する慢性疲労モデル動物を作成した。慢性疲労モデル動物は、通常飼育動物と比較してスクロース試験、体重において差を認めモデル動物は安定して作成できることが確認された。その後、頭頂部への交流鍼通電刺激(1Hz、100Hz)を行う予定であったが、飼育室の加湿器故障により2017年度は実施できなかった。2018年度は再開の予定である。 臨床研究では、鍼灸治療およびセルフケア法として食事療法、体操、森林浴、睡眠指導を行った。また、宿泊環境は古民家とし、薪ストーブ、五右衛門風呂などの環境で宿泊とした。対象は睡眠に関する疾患を持たない健常成人4名(31.5±7.9歳)とした。被験者には、鍼灸治療とセルフケアの介入を行った。評価方法は、主観的評価としてアテネ不眠尺度、心身の疲労感のVASを、客観的評価としてTANITA社製スリープスキャン(睡眠の質)、中心フリッカーを行い、自宅でのふだんの睡眠状態と比較した。結果は、総睡眠時間(自宅400.0±39.5分、美山425.0±7.4分)、深睡眠時間(自宅49.8±29.5分、美山53.8±12.0分)、REM睡眠時間(自宅74.5±13.5分、美山63.3±12.6分)において健康成人でも睡眠の改善を示す数値の変化が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
基礎研究は、飼育室の加湿器故障により安定した飼育が2018年3月まで継続したため、基礎研究で予定している慢性疲労モデル動物への鍼通電刺激の介入研究は遅れている。そのため本年度の研究費の使用も予定している額より少なくなった。しかし、2018年04月に加湿器の取り換え工事も終了したため2018年度からは基礎研究を再開する。 臨床研究はおおむね計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
基礎研究(動物)は、疲労負荷3日前からの頭頂部への交流鍼通電刺激(1Hz、100Hz)を実施する。また、平成29年度に計画にある慢性疲労モデル動物に対する疲労負荷3日前からの直流鍼通電刺激(1Hz、100Hz)を実施する。評価方法は、スクロール試験、強制水泳試験、オープンフィールドテスト、脳内モノアミン、血中カテコラミンとする。 臨床研究は、疲労と関係が深い睡眠の質に対する鍼灸治療の効果を検討する。疲労は常態化した愁訴であり、睡眠の質の改善は重要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
飼育室の加湿器故障により安定した飼育が2018年3月まで継続したため、基礎研究で予定している慢性疲労モデル動物への鍼通電刺激の介入研究が遅れている。そのため本年度の研究費の使用も予定している額より少なくなった。しかし、2018年04月に加湿器の取り換え工事も終了したため2018年度からは基礎研究を再開する。
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