研究課題
基盤研究(C)
慢性ストレス状態が免疫系,特に自然免疫に影響を与える可能性を検討した。その結果以下の知見を得た。(1)慢性ストレスにより肺胞マクロファージの貪食能活性および炎症性サイトカインの産生能を低下させる。(2)交感神経緊張低下状態が肺胞マクロファージの貪食能活性低下に関与している。(3)慢性ストレスによる肺胞マクロファージの貪食能活性低下はβ2受容体刺激薬により改善する。すなわち、慢性ストレスはβ2受容体を介して自然免疫能を低下させることが示唆された。
生化学・薬理学
この研究から,慢性ストレスにより破綻した自律神経系を介して自然免疫系に重要な役割を果たしている肺胞マクロファージの機能低下を誘発し,ストレスにより発症及び憎悪する一因に免疫力の低下が様々な疾患に関与している可能性が明らかとなった。また,このメカニズムの一端を解明したことでストレス関連症状の発症や悪化した症状を抑制し,患者のQOLを向上させる一つの手段となり得ることが期待できる。