研究課題/領域番号 |
16K09272
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研究機関 | 大阪保健医療大学 |
研究代表者 |
藤岡 重和 大阪保健医療大学, 大阪保健医療大学 保健医療学部, 教授 (20319528)
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研究分担者 |
寺崎 文生 大阪医科大学, 医学部, 教授 (20236988)
宗宮 浩一 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (20319544)
森 禎章 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 教授 (70268192)
早崎 華 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 准教授 (90257866)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | たこつぼ型心筋症 / ストレス心筋症 |
研究実績の概要 |
本年度は、たこつぼ型心筋症5症例において、臨床像とその転帰を検討した。平均年齢74歳、男性1例(20%)、女性4例(80%)。病型分類は、心尖部型3例、局所型2例であった。入院時の左室駆出率は平均52%であった。発症誘因は、身体的ストレス3例(60%)、誘因なく発症2例(40%)であった。精神的ストレスは認めなかった。身体的ストレス2例は、基礎疾患の入院加療中での発症であった。自覚症状は、胸痛1例、呼吸困難1例、心窩部痛1例、盗汗1例。1例は骨折に伴う痛みが発症誘因と考えられたが、胸部症状等の自覚症状は認めなかった。この症例では、術前心電図検査の異常(ST上昇と巨大陰性T波)が本症診断のきっかけとなった。不整脈、塞栓症等の合併症は5症例ともに認めなかった。1例が心不全のため治療にカテコラミンを必要とした。予後は全例で心機能は回復し、死亡例はなかった。 心電図所見では、ST上昇は4例(80%)でみられた。ST上昇の総誘導数は平均4.3誘導であった。最大ST上昇度は、4例(80%)において4 mm以下で V2-4誘導で最大上昇度を認めた。1例で6mmのST上昇があった。経過中に陰性T波は4例(80%)に認めた。一過性Q波は1例(20%)で形成された。J波は認めなかった。 たこつぼ型心筋症は、基礎疾患入院加療中における身体的ストレスが誘因となり発症することもあるため、どの診療科においても遭遇する可能性があり、心電図検査等を実施し早期に本症を診断することが重要と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
たこつぼ型心筋症に関する基礎研究は、関西福祉科学大学研究施設において進行中である。本年度は心筋細胞におけるストレス蛋白発現に関する研究を中心に進めた。しかし、研究遂行に予想以上の時間を要したため、補助事業期間延長承認申請を行った。たこつぼ型心筋症の臨床像、転帰に関する臨床研究は継続した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、たこつぼ型心筋症モデルを用いた心筋微量元素の動態とストレス蛋白発現の関連に関する研究を継続する。心筋微量元素に関する研究は、大型放射光施設 SPring-8(兵庫県播磨科学公園都市)にて実施予定である(課題申請準備中)。ストレス蛋白発現に関する研究は、関西福祉科学大学研究施設において継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
【次年度使用額が生じた理由】学内施設において病理組織学的、分子生物学的研究の実施が困難となり、備品費、病理組織、分子生物実験関連の消耗品費の支出がなかった。 【次年度使用計画】次年度は、学外研究施設において当初予定の基礎研究を進める。当該研究経費は、SPring-8ビーム使用料、備品費、病理組織、分子生物実験関連の消耗品購入に充当する。
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