研究課題
本研究の目的は、心血管病の病態形成における鉄の関与と細胞内鉄取り込み受容体トランスフェリン受容体1(Transferrin Receptor 1: TfR1)の役割について検討することである。まず、TfR1遺伝子ヘテロノックアウトマウスを用い、5/6腎臓摘出慢性腎臓病モデルを作成し、慢性腎臓病の病態形成におけるTfR1の役割を検討した。その結果、TfR1遺伝子ヘテロノックアウトマウスは、野生型マウスに比し、腎臓病形成後蛋白尿増加や尿細管腎臓間質線維化の程度は減弱する事を見出した。次に、Sprague-Dawley (SD)ラットを用い、5/6腎臓摘出慢性腎臓病モデルを作成し、食事性鉄制限ペアフィーディング実験を行い、高血圧・腎障害に対する食事性鉄制限の効果を検討した。その結果、食事性鉄制限ペアフィーディングにより、体重減少は認めずも血圧上昇の抑制や腎臓病形成後蛋白尿増加、糸球体硬化、尿細管間質線維化増大といった腎障害が抑制されることが明らかになり、これら病態に対する食事性鉄制限の有用性を見出した。
2: おおむね順調に進展している
慢性腎臓病モデルマウスを用いた基礎研究より、慢性腎臓病の病態形成におけるTfR1の関与を示すことができた。
心血管病におけるTfR1の関与をさらに検討するために、高血圧モデルなど異なるモデル動物を作成し、心血管病の病態形成における鉄およびTfR1の関与を示すことができた。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
PLoS One
巻: 12 ページ: e0172157
10.1371/journal.pone.0172157
Hypertens Research
巻: 39 ページ: 832-839
10.1038/hr.2016.93.