研究課題
根治が望めないような進行がんの治療において、延命効果に加え、生活の質(QOL)の向上につながるシンプトンマネジメント法の確立が必要と思われる。こうしたシンプトンマネジメントをどのような患者を対象として、どのような時期に介入すべきか、などの視点から検証する必要がある。そこで進行胃がん患者を対象として、①進行がん患者のQOL層別化ツールを確立し、②これを用いてどのようなタイミングで介入すれば、健康関連QOLの維持・改善やがん関連症状の予防・軽減につながるのか、ということについて探索した。「食欲不振」、「倦怠感」といった進行胃がんに特徴的な症状はIL-6、IL-8、VEGFの血清レベルと相関していた。また、進行胃がん患者の包括的QOLはIL-8、VEGFの血清レベルと相関しており、これらのサイトカインレベルは疾患特異的QOLを反映していると推測された。免疫機能パラメーターの一つである末梢血インターフェロンγ産生能の評価は血清VEGFレベルの高値群と低値群の識別を可能とすることで、疾患特異的QOLの層別化を客観的に行えるツールとなりうることが示唆された。末梢血インターフェロンγ産生能が良好な進行がん患者では、健康関連QOLは比較的良好であり、この維持を目指し、人間性・経済性・社会性のバランスが取れていて、患者や家族の目線から見て希望が持てるなど、前向きの価値観を持つようなシンプトンマネジメント法の確立が必要であると思われた。一方、末梢血インターフェロンγ産生能が損なわれつつある進行がん患者では、がん関連症状の軽減を目的としたシンプトンマネジメントの積極的な介入が必要と考えられた。本研究結果は新規シンプトンマネジメントの開発に寄与するものと考える。
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Medical Oncology
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