研究課題/領域番号 |
16K09278
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
浅野 直喜 東北大学, 大学病院, 助教 (20526454)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | NOD1 / 老化 / 自然免疫 |
研究実績の概要 |
本応募者はこれまでの研究により、自然免疫関連分子であるnucleotide-binding oligomerization domain 1 (NOD1)がHelicobacter pylori感染の際に生じる腸上皮化生の伸展を抑えるということをin vitroおよびin vivoでの検討から見出している。さらに、Helicobacter pylori非感染の状態であっても、NOD1のノックアウトマウスの胃では、野生型マウスの胃に比して胃粘膜萎縮が顕著であることに着目した。本研究では胃癌発生母地となる胃粘膜萎縮を胃粘膜の老化ととらえ、Helicobacter pylori感染を老化のacceleratorの一つと位置づけ、老化が著しく進行した場合に胃癌が発生すると考え、自然免疫分子NOD1がこの過程に及ぼす影響を解明しようと試みている。 昨年度のin vitroのマイクロアレイ解析で、NOD1の発現を抑制することにより変動する遺伝子が判明した。本年度は野生型マウスおよびNOD1ノックアウトマウスの胃からRNAを抽出し、in vivoのマイクロアレイを提出した。現在、in vitroとin vivoのマイクロアレイ解析で共通して変動する遺伝子の中から、老化に関連した遺伝子を抽出するべく、解析を進めている。 並行して、NOD1の有無による造腫瘍能への影響を検討する目的で、NOD1を過剰発現した胃粘膜上皮細胞およびNOD1の発現を抑制した胃粘膜上皮細胞を3次元培養し、NOD1の有無によるspheroid形成能の差を検討している。さらには、野生型マウスおよびNOD1ノックアウトマウスの胃における老化関連遺伝子の変動をex vivoで検討するため、それぞれのマウスから採取した胃粘膜上皮細胞の3次元培養系の確立を進めている。現在、それぞれのマウスの正常胃粘膜上皮細胞の3次元培養および継代に成功し、系の安定化を図っている。また、今後の解析を進めるために、3次元培養した正常胃粘膜上皮細胞からのRNA抽出を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたとおり、in vivoのマイクロアレイも提出することができ、現在、in vitroとin vivoで共通して変動する遺伝子の解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロアレイ解析で抽出した遺伝子の中から老化関連遺伝子を同定する。また、正常胃粘膜上皮細胞の3次元培養系を用いて、抽出した老化関連遺伝子がどのように制御されるかを検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 平成28年度にマウスの数が揃わず、マイクロアレイ解析が行えなかったため、平成29年度への繰越金が生じた。平成29年度にはマウスの数が揃い、マイクロアレイ解析に提出することができたが、その繰越金があったために、次年度への繰越金が生じた。 (使用計画) マイクロアレイ解析を進め、NOD1の欠損により変動する老化関連遺伝子を抽出する。その抽出した遺伝子と胃粘膜萎縮・発現の制御を検討していく。
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