自然免疫関連分子NOD1欠損マウスの胃では、前癌病変である胃粘膜萎縮が認められた。マイクロアレイ解析ではNOD1欠損マウス胃において、酸分泌に関連する遺伝子群の発現低下が認められた。胃オルガノイドを用いた検討では、NOD1欠損マウス胃オルガノイド形成能は、野生型マウスのそれに比べて低下していた。オルガノイドにおける遺伝子発現の比較では、Lgr5、Muc5acの発現に差は認めなかったものの、NOD1欠損マウス胃オルガノイドにおいて、Atp4a、Pgcの発現が抑制されていた。以上からNOD1が胃幹細胞の分化に影響を及ぼしている可能性が考えられ、その欠損は胃前癌病変の出現に関与することが示唆された。
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