研究課題
H28-29年度はLSL-RhoAY42Cマウスを作成しTFF1-BAC Creマウスと交配しイムノブロットにてRhoA Y42Cの発現を確認した。4w齢では野生型に比して軽度粘膜の萎縮の傾向を認めたが、6mではHE染色による胃底腺の構造、炎症は野生型と同等であり、炎症細胞浸潤がみられず、また印鑑細胞癌(signet ring cell carcinoma)からなるびまん性胃癌は認めなかった。胃底腺のの分化について検討したところTFF1-BAC Cre; LSL-RhoA Y42Cマウスにおけるこれら胃底腺細胞の配置、および数は野生型マウスと同程度であった。またTFF1-BAC Cre; LSL-RhoA Y42Cマウス胃粘膜よりオルガノイドを作成し、野生型オルガノイドと細胞増殖の程度を比較し、ほぼ同程度の増殖能を有することが分かった。H30年度はTFF1-BAC Cre; LSL-RhoA Y42Cマウス胃粘膜オルガノイドのTFF1、TFF2、pepsinogenなどの発現を検討したが、これらの分化マーカーの発現低下は見られなかった。さらにびまん性胃癌で異常が報告されているCDH1遺伝子の果たす役割をTFF1-BAC Creマウスを用いて検討した。一過性に発生した印鑑細胞癌はすぐに管腔側に脱落し、12wには小彎頭側から伸びだしてきた扁平上皮により完全に置換された。さらにRhoA Y42Cを導入したところ、やや扁平上皮化生が促進している傾向がみられたが、統計学的な有意差はみられなかった。これらの結果から、マウス胃粘膜におけるRhoA Y42C変異がびまん性胃癌の発生に与える影響はCDH1遺伝子異常に比べて限定的であることが明らかになった。またびまん性胃癌と腸型胃癌の発癌形式の違い、びまん性胃癌に多い幽門狭窄を伴う進行癌の治療法を臨床的に検討した。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
J Pathol.
巻: 247 ページ: 35-47
10.1002/path.5163.
World J Gastroenterol.
巻: 24 ページ: 2163-2172
10.3748/wjg.v24.i20.2163.