研究課題/領域番号 |
16K09280
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
橋本 哲 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (10768667)
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研究分担者 |
寺井 崇二 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00332809)
佐藤 祐一 新潟大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (00401761)
上村 顕也 新潟大学, 医歯学系, 助教 (00579146)
佐藤 裕樹 新潟大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (50644556)
土屋 淳紀 新潟大学, 医歯学総合病院, その他 (70464005)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 早期食道癌 / 内視鏡的粘膜下層剥離術 / トリアムシノロン / 生体吸収性ゼラチンハイドロゲルシート |
研究実績の概要 |
早期食道癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)後瘢痕狭窄の予防に対し、申請者らはステロイド製剤であるトリアムシノロンを用いた内視鏡的食道壁内注入法を開発し、トリアムシノロンに術後狭窄を防ぐ作用があることを臨床的に証明してきた。その効果をより引きだし、治療成績をさらに向上させるため、新たに生体吸収性ゼラチンハイドロゲルにトリアムシノロンを内包化し徐放シート化(TGHG)することに成功した。本課題では、ESDを施行したイヌ食道粘膜全周切除モデルを作製し、内視鏡下でTGHGを切除面に貼付させ、トリアムシノロン徐放化による食道壁の線維化抑制効果について検討することが主目的である。 まず、TGHGの線維化抑制効果を検討するため、シートを貼付しやすく、評価も比較的容易なマウス皮膚潰瘍モデルを作製した。TGHGとコントロールシートの比較、およびトリアムシノロン皮下局注との比較を行った。摘出標本は常法に従いヘマトキシリン・エオジン染色標本を作製し、アザン染色、αSMA染色などを用いて、線維化および抗炎症細胞浸潤の程度を検討した。その結果、コントロールシートやトリアムシノロン局注に比べて、TGHGの線維化抑制効果を示すことに成功した。さらにTGHGのステロイド徐放性を調べるため高速液体クロマトグラフィで解析を行い、TGHGの徐放性を確認した。これらは現在論文投稿中である。 次に、ビーグル犬を用いて食道全周性ESDを施行し、イヌ食道粘膜全周切除モデルを作製することに成功した。内視鏡下でTGHGの食道切除面への貼付を試みたが、シートのリリース、定着性に関する問題が判明した。このため、シート素材の変更を考慮し、様々な材質のシートで粘膜への貼付実験を行った。現在食道へのデリバリー、定着に使用可能なシートを用いてイヌ食道への貼付実験を施行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
トリアムシノロン含有ゼラチンハイドロゲルシートは、食道切除面へのデリバリーと定着性に問題があった。様々なシート素材でイヌ動物実験を行い、最もデリバリーが簡便で確実な定着の可能性のあるシートを用いて検証中である。
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今後の研究の推進方策 |
現在食道へのデリバリー、定着に優れたシート素材で、イヌ実験を行っている。もし、食への定着が可能であれば、ステロイドの徐放効果を高速液体クロマトグラフィで確認する。その後、マウス皮膚欠損モデルを用いてシートの線維化抑制効果を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)本年はイヌESD切除面に対するシートの抑制効果を調べる実験を行う予定であったが、シートのデリバリー、定着性の問題があり、シートの選定のため延期していた。 (使用計画)現在シート定着性への検証実験を行っており、可能であればマウス皮膚欠損モデルでの線維化予防効果の検証実験およびイヌESD切除面に対するシート貼付実験を行う予定である。
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