研究課題
本研究ではアセトアルデヒド代謝機能低下に起因する食道発がん予防法の実験モデルを確立するため、ホモ変異型ALDH2(ALDH2*2/*2)ノックインマウスを作成し実験に使用した。コントロールマウスとして、野生型ALDH2(ALDH2*1/*1)ノックインマウスを作成した。さらにこの両マウスを掛け合わせ、ヘテロ変異型ALDH2*1/*2マウスを作成した。3種類のマウスにおけるALDH2活性は、ALDH2*1/*1>ALDH2*1/*2>ALDH2*2/*2の順に高値を示した。これら3群のマウスに10%エタノールを7日間自由摂取させ、摂取開始7日後の食道組織を採取し、DNAアダクト(N2-ethylidene-dG)値測定を行った。アルコール摂取量はALDH2*1/*1>ALDH2*1/*2>ALDH2*2/*2群の順に高値を示したが、食道DNAアダクト値はALDH2*1/*1<ALDH2*1/*2<ALDH2*2/*2群の順に高値を示した。次に同マウスに10%エタノールを7日間飲酒させ、同時にALDH2活性化剤であるAlda-1を20mg/kg/bodyの投与量で1日2回、7日間腹腔内投与し、食道を採取後、食道DNAアダクト値測定を行った。Alda-1投与により、すべてのマウス群でALDH2活性が有意に増強した。ALDH2*1/*2及びALDH2*2/*2マウス群ではエタノール摂取量も有意に増加したが、一方で食道DNAアダクト値は、ALDH2*1/*2及びALDH2*2/*2マウス群の両群において有意に減少した。本研究で「ALDH2活性化剤:Alda-1の投与により、ALDH2機能の低下した個体におけるアルコール飲酒後の食道組織に蓄積するDNA傷害」が有意に抑制されることが明らかとなった。
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Journal of Gastroenterology
巻: ― ページ: ―
doi: 10.1007/s00535-019-01549-x.
日本食道気管学会会報
巻: 69 ページ: 275-281