研究課題
1)Hp除菌後発見胃癌に関する後ろ向き臨床検討Helicobacter pylori除菌後に発見された胃がんに関して、広島県内の関連施設による多施設研究組織を形成し、広島消化管病態機能研究会を母体として症例集積の体制を整備した。また同研究会を介して除菌後発見胃がんの内視鏡像、組織像に関してコンセンサスを形成した。除菌後発見胃がんに生じる低異型度上皮(ELA)については、日本ヘリコバクター学会など複数の全国学会で問題提起を行い、国内の研究者と意見交換を行った。ELAに関しては、当院で診断した除菌後発見胃がんの特性について、後ろ向き検討を行い、内視鏡診断についての影響を検討している。今年度には、除菌後発見胃がんに関する総説論文(依頼)として日本消化器内視鏡学会誌に発表予定である。2)除菌後発見胃癌に出現する低異型度上皮の発生機序、生物学的特性に関する分子病理学的解析Helicobacter pylori除菌後発見胃がんについて、院内で内視鏡的粘膜下層切除術を施行した症例を後ろ向きに検討し、ELA出現例について、パラフィン包埋切片薄切標本を準備した。さらにはELAをレーザーキャプチャー法で選択的に取り出し、DNAを抽出し、胃がん組織、非がん部胃粘膜との比較を行う準備を進めている。胃腫瘍細胞内のCagA発現に関しては、免疫生物研究所と共同作成したポリクローナル抗体、ならびにコマーシャル抗体を用いて、蛍光免疫染色にて発現解析を継続実施中である。
2: おおむね順調に進展している
免疫組織科学的検討においては、現時点でパラフィン包埋切片に使用可能な抗体がなく、解析に支障をきたしている。一方、パラフィン包埋切片を用いたDNA解析については、症例選択からDNA抽出が順調に進行し、キャンサーパネルでの解析のめどが立っている。予定より早く解析結果を得られる見込みである。
CagAに関する免疫組織化学については、引き続き各種抗体を用いた反応試験を行い、免疫組織化学の至適条件を求めることを目指す。免疫生物研究所と共同で作成した、抗Helicobacter pylori CagA (phosphorylated form)ポリクローナル抗体の反応条件を再検討し、応用を目指す。レーザーキャプチャー法を用いたDNA解析については、次世代シークエンサーを用い検討を進めていく予定である。
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Gastric Cancer
巻: [Epub ahead of print] ページ: 印刷中
10.1007/s10120-016-0682-5
胃と腸
巻: 51(6) ページ: 759-765