研究課題/領域番号 |
16K09284
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
青木 茂久 佐賀大学, 医学部, 准教授 (10448441)
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研究分担者 |
竹澤 俊明 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 主席研究員 (50301297)
坂田 資尚 佐賀大学, 医学部, 助教 (50404158)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 食道癌 / 内視鏡的粘膜剥離術 / コラーゲンビトリゲル |
研究実績の概要 |
早期食道癌患者に対して実施される内視鏡的粘膜剥離術(ESD)では、術後合併症として強固な食道狭窄が生じるため、切除面積は限定されており予防法も現在確立されていない。我々は、アテロコラーゲンビトリゲル薄膜による皮膚再生および瘢痕抑制効果をヒントにESDの粘膜剥離部に貼付し、食道狭窄を抑制する新デバイスを着想した。 今回、我々は広範囲ESD後食道狭窄予防デバイスとして、再生医療用ブタアテロコラーゲンを用いたcollagen vitrigel patch (CVP)を作製した。 方法:実験用ブタに対してESDによる全長2 cm、全周性の食道粘膜欠損を作製した。汎用型の上部消化管内視鏡と生検鉗子を用いて同部位にCVPを貼付し、クリップにて固定を行った。対象群は粘膜切除のみ行い、CVP貼付は行わなかった。 結果:対照群では術後1週間より食道内腔の狭窄が目立ち、2週間では高度狭窄(pin hole)に陥った。一方、CVP貼付群では良好な食道内腔の開存を認めた。摘出食道を病理組織学的に解析したところ、対象群では上皮化の遅延、粘膜表層の厚い肉芽組織形成、多数の炎症細胞浸潤、αSMA陽性の筋線維芽細胞の出現、線維化の亢進を認めた。一方、CVP貼付群では対象群と比較し有意な粘膜欠損部の上皮化の促進、炎症抑制、筋線維芽細胞の出現抑制、粘膜の肉芽組織形成、線維化の軽減効果を認めた。 結語:本デバイスは、貼付および固定操作が全て汎用製品を用いるため、一般施設での実施が可能であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究において、我々は再生医療用ブタアテロコラーゲンを用いたcollagen vitrigel patch (CVP)を作製し、実験用ブタを用 いてその狭窄抑制効果を定量的に示すと共に、その作用メカニズム(上皮化促進、筋線維芽細胞出現抑制)の機序の一端を明らかにした。また、CVP貼付による創部のコラーゲン組成の変化、およびCTGFを介する筋線維芽細胞の抑制機序を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は上皮化促進および炎症抑制のメカニズムを詳細に明らかにすると共に、臨床現場に即した製品化を目指し、製品形状の最適化と最終的な品質を決定する。
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