研究課題/領域番号 |
16K09286
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
田村 寿英 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (70760065)
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研究分担者 |
芝田 渉 横浜市立大学, 先端医科学研究センター, 准教授 (00435819)
前田 愼 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (40415956)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | オルガノイド / 3次元初代培養 / 胃癌バンク / 次世代シークエンサー / 阻害剤ライブラリー |
研究実績の概要 |
本研究は、胃癌の臨床検体を3次元初代培養・バンク化し、従来型のマウス発癌モデルと融合させ胃癌の腫瘍・宿主因子を明らかにし、胃癌診療のトータルスクリーニングシステムを確立することが目的である。 臨床研究として倫理委員会から承認を受け、胃内視鏡時の胃癌生検検体を用いて3次元初代培養を行う体制を確立した。臨床研究として同意書を取得した上で、胃内視鏡時の胃癌生検検体を用いて3次元初代培養を行った。現在培養オルガノイド腫瘍のバンク構築を継続している。培養方法についてはまずヒトの非癌胃粘膜で3次元初代培養・継代、凍結保存後の再培養が可能な方法を、Sato, Barkerらのマトリジェルを用いた培養方法を改変して確立した。そして癌胃粘膜を用いて同じ手法での3次元初代培養を行っている。 ヒト胃粘膜3次元初代培養、ヒト胃癌細胞株を用いて阻害薬ライブラリーを利用した薬剤スクリーニングを行った。胃癌細胞株MKN45を用い、24well dishに阻害剤添加したあと12時間後にRNAを回収し解析した。癌胃粘膜由来のオルガノイド腫瘍については解析の準備を進めている。 胃癌バンク組織を用いて網羅的遺伝子検索を行うことに関しても、倫理委員会の承認を得た。胃癌バンク組織を用いた網羅的遺伝子検索・胃癌ドライバー変異の分子生物学的検索をバイオバンク胃癌切除検体・凍結標本を用いて行う準備を開始した。現在組織よりDNA抽出を行い、次世代シークエンサーでの遺伝子変異検索に必要なDNA量の抽出に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
フィルム培養法や3種混合培養法は胃癌手術生組織の利用が検体量の点から必要であるが、手術時にホルマリン固定する前に癌検体をオルガノイド培養していく体制の構築に想定以上の時間がかかっているため。
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今後の研究の推進方策 |
3次元初代培養の方法としてフィルム培養法や3種混合培養法についても、胃癌手術検体生組織を用いて施行し、マトリジェル培養法と比較していく。 構築したオルガノイド腫瘍バンクに96種類の阻害薬を投与して抗腫瘍効果をスクリーニングする。さらにオルガノイド腫瘍をマウスにXenograftし、マウスに同定された阻害薬を投与して抗腫瘍効果の判定を行う。 またオルガノイド腫瘍バンクに関して次世代シークエンサーを用いた網羅的遺伝子検索を行い、抗腫瘍効果を認めた阻害薬と遺伝子変異の関係を探索する。遺伝子変異に対応する細胞内シグナル経路と阻害薬が抗腫瘍効果を発揮するメカニズムをIn vitroで分子生物学的に検討する。その上で、オルガノイド腫瘍バンクを用いた検討結果に基づく、個別化された抗癌治療に向けた臨床研究の準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究室内に利用できる材料があり、物品費の支出が抑えられたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降の初代がん細胞培養キット、次世代シークエンサーなどの物品費に使用する。
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