研究課題/領域番号 |
16K09287
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
久保田 英嗣 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (30405188)
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研究分担者 |
片岡 洋望 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (40381785)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | DNA修復機構 / ATM / ATR |
研究実績の概要 |
DNA修復因子であるATMおよびATRに対する阻害剤の抗腫瘍効果について、大腸癌細胞を用い細胞増殖アッセイおよびアポトーシスアッセイを用い検討した。さらに既存の抗腫瘍薬で、大腸癌の治療に用いられているオキサリプラチンと、ATMおよびATR阻害剤の併用効果について同様の手法を用い検討を進めている。ATM阻害剤およびATR阻害剤は単独でも一部の大腸癌細胞に対する優れた有効性を示しており、これまでの検討から、ATR阻害剤は低ATM発現大腸癌細胞株に有効であることを確認している。現在これらの薬剤に関する感受性と関連した大腸癌細胞におけるDNA修復関連遺伝子の発現プロファイル、遺伝子変異プロファイルについて、PCR-arrayやシーケンサーを用いさらなる検討を進めており、ATMおよびATR阻害剤との感受性と関連した遺伝子をいくつか同定している。これらの遺伝子をknockdownもしくは強制発現させた細胞の樹立を進めており、今後これらの細胞を用い、ATMおよびATR阻害剤の抗腫瘍効果について検討する予定である。またオキサリプラチンとATM阻害剤もしくはATR阻害剤との併用効果は、一部の大腸癌細胞株においては、強力な相乗効果が得られることを確認している。現在、その作用メカニズムについて、各種アッセイ系を用い検討するとともに、PCR-arrayやシーケンサーにより遺伝子発現や変異との関連についても検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで研究は予定通り順調にすすんでおり、ATMおよびATR阻害剤に抗腫瘍効果に関するデータが得られている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでATM阻害剤およびATR阻害剤の有効性の検討で進めてきたが、平成29年度は、これらの薬剤に加え、CHK1、CHK2阻害剤やDNA-PKcs阻害剤など他のDNA修復機構を標的とした薬剤の有効性について検討を進める。またこれらの薬剤の腫瘍免疫における役割についても検討を行う。 マウスを用いたin vivoの検討についても進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物実験が開始できておらず、マウス購入予定の予算については未執行となっているため。
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次年度使用額の使用計画 |
実験試薬に加えて、実験に使用するマウスの購入に助成金を使用する計画である。
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