研究実績の概要 |
本研究では、マウス大腸がん細胞を用いて、DNA修復機構を阻害する新規抗腫瘍薬の有効性について検討した。In vitroの検討では、DNA修復阻害剤の併用効果について検討した。マウス大腸癌細胞株、CT26、CMT93に対し、ATM阻害剤単独、およびChk1阻害剤との併用で使用し、腫瘍増殖抑制効果を検討した。ATM阻害剤としては、KU-55933および、よりATM選択性の強いKU-60019を使用し、Chk1阻害剤としては、LY2606268を使用した。KU-55933とLY2606268の併用では相乗的な有効性は認められなかったが、KU-60019とLY2606268との併用では、相乗効果が認められた。また,caspase3 染色により、この併用投与は強力なアポトーシスを誘導することが確認された。これらの結果からKU-60019とLY2606268との併用効果が有効であると判断し、in vivoでの検討を行った。in vivoの検討では、マウス大腸がん細胞株、CT26を用いた同種移植モデルを作成し研究をすすめた。薬剤を腹腔内投与し抗腫瘍効果および腫瘍免疫の誘導について検討した。抗腫瘍効果は経時的な腫瘍径の計測により、また腫瘍免疫については、薬剤投与後のマウスから、腫瘍、脾臓を摘出し、各免疫細胞の表面マーカーで染色し、FACSを用いてプロファイリングを行った。薬剤による一定の抗腫瘍効果は認められたが、相乗的な効果についてははっきりとしたデータは得られなかった。腫瘍免疫については、サイトトキシックT細胞の誘導が確認された。
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