根治切除困難な進行胃癌では、化学放射線療法が適応となる。前立腺腫瘍に使用される125Iを用いた小線源療法では、通常の外部照射より高線量が安全に投与可能である。そこで、胃癌における小線源療法の安全性と有効性について検討した。 胃癌細胞株(2種の低分化腺癌と1種の高分化腺癌)に対する小線源療法の増殖抑制効果を調べるため、proliferation assayを行ったところ、いずれも有意差をもって増殖が抑制された。この増殖抑制におけるアポトーシスの関与を調べるため、annexin Vとpropidium iodideによる二重染色、アポトーシスの主要なmediatorであるcaspase-3の活性を調べた。その結果、小線源療法は、アポトーシスを誘導することによって、分化度を問わず、胃癌細胞の増殖を、in vitroで抑制したことを証明した。次に、in vivoでの小線源療法の安全性と増殖抑制効果を検討するため、ヌードマウスを用いた胃癌播種モデルを構築した。125Iのseed(hot群)をアプリケーターにより腫瘍内部に打ち込み、主腫瘍量や生存率、合併症の有無、ならびにsacrifice後解剖し、転移巣の数や大きさを基に、その治療効果を調べた。no seed群、cold seed群と比較して、hot群では投与2週後までは、3群で腫瘍量に差を認めなかったものの、その後はhot群では、他の2群より優位に腫瘍量が少なく、定常状態となった。驚くべきことに、使用した胃癌細胞株全て(高分化型、低分化型、びまん型)において腫瘍抑制効果が観察され、免疫染色により、hot群ではアポトーシスが誘導されたことが証明された。 以上より、胃癌の分化度と無関係に、125Iによる小線源療法の安全性と腫瘍抑制効果がin vivoでも確認できた。
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