今後の研究の推進方策 |
今年度は、我々が独自開発したG-Scan法(next-generation sequencing-based method of integrated whole helicobacter pylori genomes)を用い、①ピロリゲノム特異的baitsをカスタム作成することに成功、②ピロリ菌DNA断片のみを胃液中から選択的に抽出することに成功。③更に得られたテンプレートDNAを用い、唯一ロングリードが可能なPacBio RS Systems解析を組み合わせることで効率的かつ高性能な「ピロリ菌NGS解析」データを得ることに成功した。現在、次世代シークエンス解析が終了し、1サンプル当たりのフィルター後のリード数は83,005リード、全塩基数は1,404,488,606bpであった。平均リード長は16,920bpにあり、胃洗浄廃液というテンプレートDNA素材にも拘わらず、およそ1.5kbpのリード長を得ることができたことから、通常の次世代シークエンス解析にみられるショートリード解析とは異なり、同じピロリ菌でも複数種ピロリ菌の胃内含有を同定することに成功した。ピロリ菌除菌治療の薬剤耐性に相関性のあるSNP部位23SrRNAの解析を以前に定量的パイロシークエンス法にて行っており、この結果と今回得られた結果による再現性を検証するまでに至った。結果、ターゲット部位が特定されている23SrRNA部に関しては、従来のパイロシークエンス解析結果の再現性が検証できた。この結果は、平成29年6月の日本ヘリコバクター学会にて発表予定である。 また、今後は未だ発見されていない「胃がんに特異的なピロリ菌ゲノム異常」の配列部位特定を行うべくバイオインフォマティクス解析を進めてゆく予定である。
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