研究課題
機能性消化管障害の患者および対照者において消化管粘膜バリア機能を評価するために内視鏡下にカテーテルを挿入し,粘膜に直接プローブを接触させてアドミタンスを測定している.食道では,粘膜傷害程度に周在性があることから,4方向での測定を行いその違いの有無を検討している.胃食道逆流の評価にはスレウスZephr(コンフォーテックMIIpHシングルカテーテル,Sandhill Scientific, Inc. USA)を用いて24時間インピーダンス・pHモニタリングを行い,各物理的性状・酸度ごとの下部食道括約部(LES)上縁から5cmに達する逆流数と酸逆流時間(%time pH<4)を測定している.食道及び十二指腸上皮生検組織を用いて粘膜バリア機能にかかわるタイト結合蛋白,特にクローディン(CLDN)などのmRNA発現量をreal-time PCRで定量的に検討している.機能性ディスペプシア患者では,十二指腸下行脚の粘膜において肥満細胞および好酸球の浸潤が多いことが明らかとなった.一方,CLDNの十二指腸での発現は,機能性ディスペプシアでCLDN3 mRNAの発現増加が観察されている.共焦点レーザー顕微鏡でそれぞれの蛋白の細胞膜での局在の違いを検討している.十二指腸粘膜では,CLDN3およびオクルディンの発現が頂端部細胞膜上にみられる一方でCLDN4の発現は細胞間側面に主に発現がみられることが明らかとなった.
2: おおむね順調に進展している
症例集積に努め,機能性消化管障害の患者および対照者の食道,十二指腸におけるアドミタンス測定を行っている.また胃食道逆流の評価は,24時間インピーダンス・pHモニタリングによって行っている.
食道のアドミタンス測定における測定値の安定化を図り,より詳細に各疾患における測定値の違いとタイト結合関連蛋白の発現および局在との相関を解析していく予定である.
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