研究実績の概要 |
臨床検体の集積に関しては、前向きに内視鏡下に採取するものに関しては対象となる症例が少なく、集積が遅れていたため、採取を断念した。そのため、従来切除され、ホルマリン固定、パラフィン包埋(FFPE)標本として保存されている組織を用いて解析を行うこととした。 集積された約130検体から、DNA抽出を行った。その後、大腸進行癌で変異が高頻度に報告されているAPC, TP53, KRAS, BRAF, RNF43遺伝子などに加えて、大腸発癌において重要な経路である、Wnt経路関連遺伝子であるCTNNB1, AXIN2, DKK1-4, FAM123B, ARID1A, TCF7L2, SOX9などを含む、計39遺伝子のパネルを作成し、次世代シークエンサーを用いて変異解析を行った。DNAの質が悪い検体が多く、最終的に解析を終了したのは78病変となった。内訳は、大腸鋸歯状腺腫(TSA) 36病変、無茎性鋸歯状腺腫(SSA)18病変、microvesicular typeの過形成性ポリープ 22病変、腺腫成分を伴った鋸歯状病変 2病変であった。 また、申請者らが従来から鋸歯状病変においてメチル化解析を行ってきた、癌関連遺伝子(SFRP1, SFRP2, IGFBP7, GALNT14, MLH1)と、ゲノムワイドなメチル化の指標となるCpG island methylator phenotype (CIMP)のマーカー遺伝子(MINT1, MINT2, MINT12, MINT31, CDKN2A)のメチル化の定量的解析をパイロシークエンス法によって行った。 研究協力者に依頼していた病理診断も終了したため、現在、臨床病理学的特徴と遺伝子変異、メチル化の関連に関して解析を行っている。
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