研究課題
大腸がん細胞株HCT116細胞の培養細胞集団より、遊走能形質の異なる二つの細胞集団を樹立した。これらの細胞集団に関して、網羅的遺伝子発現解析ならびに、網羅的DNAメチル化解析を行った。その結果、シグナルパスウェイ解析により、2群の細胞間で、上皮間葉形質に関わる遺伝子発現変化パターンを認め、細胞運動能の機能に関わる遺伝子群が有意に変化していた。これらの細胞の形質獲得過程を明らかにするために、エピジェネティクの要因検索のために、DNAメチル化アレイならびにマイクロRNAアレイの解析を実施した。その結果、形質の異なる2つの細胞集団間でDNAメチル化により遺伝子発現が有意に変化する遺伝子を75遺伝子同定した。これらには、がん細胞の遊走能に関わる遺伝子が統計学的に有意に含まれていていた。さらに、遊走能獲得過程において、単一遺伝子のプロモーター領域において複数のDNAメチル化変化を認めたZNF350について、パイロシークエンス法においてDNAメチル化を評価した。さらに、ZNF350遺伝子の過剰発現、およびsiRNAを用いたノックダウンにより遊走形質の獲得における役割を明らかにした。これらのデータをまとめ、誌上発表した。また、遊走の獲得過程において、あるマイクロRNAクラスターに属する複数のマイクロRNAの発現が高くなっていることを確認した。これまでのところ、これらのマイクロRNAの共通のターゲットとなる同定をした。さらに、このマイクロRNAクラスターの転写制御因子の同定を終え、現在論文作成中である。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
oncotarget
巻: 9 ページ: 36750-69
10.18632/oncotarget.26353