研究課題
これまでに抗酸化酵素HO-1(heme oxygenase-1)、ならびに、その生成物であるCO(carbon monoxide:一酸化炭素) による腸管炎症病態における役割について継続的に検討を行っており、腸管炎症病態におけるHO-1の炎症抑制効果について、HO-1阻害剤にて腸管炎症病態が悪化すること、Bach1欠損マウス(高HO-1発現マウス)では腸管炎症が軽減されることを確認し、HO-1は主に腸管粘膜固有層のマクロファージに発現することを見出し報告した(J Clin Biochem Nutr. 2018. Nov;63(3):169-174)。さらに、HO-1から生成されるCOにより、ナイーブCD4+T細胞リンパ球のTh17分化が制御され、腸管炎症の発症・進展が制御されることを明らかにした(Free Radic Res. 2018. Dec;52(11-12):1328-1335.)。これらの結果はHO-1を高発現する抗原提示細胞(マクロファージ)が一酸化炭素を介してリンパ球分化を制御する可能性を示すものであり、一酸化炭素を介したサイトカインと同様の免疫担当細胞間のシグナル架橋が存在することを示すしている。また、高HO-1発現マウス(Bach1欠損マウス)を用いて大腸粘膜内のHO-1発現が腸内環境に及ぼす影響を検証しており、両マウスを共飼育すると野生型マウスの腸炎が改善すること、Bach1欠損マウスの糞便を移植された野生型マウスでも腸管炎症の発症進展が抑制されることを明らかにしており、大腸粘膜内におけるHO-1発現が腸内細菌叢構成にも影響することを明らかにした。
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