研究実績の概要 |
大腸癌培養細胞株DLD-1とSW480に低濃度から5-FUを暴露することで耐性株DLD/FとSW/Fを、担癌マウス(mDLDcontrol)に5-FUを腹腔投与することで5-FU耐性大腸癌細胞株mD/F1およびmD/F2を樹立した。 5-FUの薬剤暴露後48時間におけるIC50はDLD-1: 7.64±0.25μM, DLD/F: 41.23±0.24μM, SW480: 4.19±0.35μM, SW/F: 21.28±0.20μM, mDLDcontrol: 4.23±0.12μM, mD/F1: 17.68±0.14μM, mD/F2: 19.78±0.13μMであった。カンプトテシンやオキサリプラチンに対してもこれらの親株と5-FU耐性株で比較してみた。薬剤暴露後48時間におけるIC50は若干耐性株の方が多いが、すべて誤差の範囲であり、耐性は認めなかったと判断した。 これらの細胞に対してmicroRNAアレイを施行した。2つ以上の耐性株に共通する5-FUの耐性に関与が疑われるmicroRNAは耐性株で2倍以上に上昇する者が7種、半分以下に低下する者が5種であった。3つで共通するmicroRNAは1種のみで上昇する者を認めた。これらのmicroRNAで他者の既報論文を検索をすると8種のmicroRNAが薬剤耐性や細胞の老化、癌の発育や進展との関連が疑われ、大変有望な結果であると判断した。
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