研究課題
HBVジェノタイプ特異的に免疫修飾を行う因子として、ケモカインとしてはCX3CL1を同定し、報告済みである。2017年度はHBV複製肝細胞とHBV複製肝細胞より放出されるエキソソーム内のmiRNAを次世代シーケンサーにて解析し、ジェノタイプBとCで異なる発現を示すmicro RNAとしてmiR34c-5pを同定した。このmiR-34cの標的に対しての検討としては、いくつか既報が存在しており、c-mycやTGF-induced factor homeobox 2があることがわかった。これらはアポトーシスの誘導に関わることがわかった。またPD-L1がターゲットとなることも報告されているため、この確認検討を進めている。ヒト血清を用いた、miRNAsの網羅的検討も施行している。ジェノタイプB 5例、ジェノタイプC 10例、健常者11例の血清よりRNAを抽出してライブラリーを作成して次世代シーケンサーにて解析を行っている。ヒト検体であるが、マップ率は10%程度得られており、順調に解析が進んでいる。また、CX3CL1のSNP解析について120例の検体集積を終了しおり、途中解析の結果、病態進展との有意差が得られているSNPを同定している。当検討については引き続き検体収集、解析を継続していく。ジェノタイプ間での免疫修飾因子をより深く理解するため、免疫反応が大きく異なるとされる、無症候性キャリアと慢性B型肝炎で核酸アナログを投与されている患者、慢性B型肝炎で核酸アナログを投与されていない患者の3群についての検討も開始している。
2: おおむね順調に進展している
次世代シーケンサーを用いた検討は、ライブラリー作成や解析に時間を要することがあるが、現在この実験系が上手く働いているため、順調にデータが収集出来ている。検体収集も順調に進んでおり、当研究は、おおむね順調に進展していると思われる。
培養細胞系で順調にデータを収集出来ているため、今後、ヒト血清を用いた検討を行っていく予定である。現在、ジェノタイプBとCの患者血清を用いた解析を開始しいる。免疫反応の差が大きい無症候性キャリアと慢性B型肝炎患者の解析を加えることで、より詳細な検討を行っていく方針である。
同定したマイクロRNAの機能解析よりもヒト血清での解析を優先させたため、培養実験で使用予定であった、遺伝子導入試薬や遺伝子発現解析試薬の購入をまだ行っていない。2018年度はヒト血清を用いた解析と並行して、この検討を行う予定であり、計画当初の予算を執行する方針である。
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Int J Obes (Lond).
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1038/s41366-018-0062-9.
Gastroenterology
巻: May;152(6) ページ: 1383-1394.
10.1053/j.gastro.2017.01.041.