研究課題/領域番号 |
16K09336
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
嘉数 英二 東北大学, 大学病院, 助教 (20509377)
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研究分担者 |
小暮 高之 東北医科薬科大学, 大学病院, 講師 (70400330)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 非アルコール性脂肪性肝炎 / 門脈血 / アミノ酸 |
研究実績の概要 |
昨年度、新規作成した野生型C57BL/6Jマウスの門脈血に類似した(グルコース、遊離アミノ酸濃度が一致)無血清培地(PBM-wt)と脂肪肝モデルマウス(ob/ob)の門脈血に類似した培地(PBM-ob)を用いて潅流培養下で肝細胞の脂肪変性を比較した。オレイン酸による脂肪滴誘導に関しては両培地間で差を認めないが、オレイン酸で脂肪滴を誘導した肝細胞を両培地で潅流培養(24時間)するとPBM-ob下では肝細胞内の中性脂肪が有意に高く、フローサイトメータの測定では肝細胞の脂肪滴退縮が有意に抑制されることが明らかとなった。培養上清中の遊離脂肪酸はPBM-obで有意に低くなった。更に細胞内の小胞体ストレスマーカーGRP78がPBM-ob下で有意に高くなることが明らかとなった。興味深いことにPBM-obで低い遊離アミノ酸7種類を添加することでこの退縮抑制が改善した。7種類のアミノ酸の中でL-methionine(L-Met)およびL-tyrosine(L-Tyr)に特に強い改善効果を認めた(特許出願済み)。実際の非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)患者70名の肝生検組織における肝細胞脂肪滴を画像解析ソフトで定量化し末梢血遊離アミノ酸濃度と比較統計した。ほとんどの脂肪酸、遊離アミノ酸が肝細胞脂肪滴面積と正の相関関係であるにもかかわらず、興味深いことにマウス門脈血で低下した遊離アミノ酸は肝細胞脂肪滴面積と負の相関関係がある事が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究期間では、脂肪肝モデルマウス(ob/ob)の門脈血で有意に低下した遊離アミノ酸が肝細胞脂肪滴退縮を抑制するという新たな知見が得られた。更にこの現象は、マウスだけではなく実際のNAFLD患者末梢血中遊離アミノ酸プロファイルと肝細胞脂肪滴面積との相関関係に矛盾しない結果であった。
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今後の研究の推進方策 |
in vitroで遊離アミノ酸の脂肪滴退縮改善効果のメカニズムを明らかにする。マウスを用いた動物実験でin vivoにおける候補アミノ酸の脂肪肝改善効果を検討する。すでにアミノ酸改変食餌を購入済みであり速やかにできると考る。NAFLD患者の肝生検組織と末梢血中遊離アミノ酸プロファイルのデーターベースも更に充実させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は10000円未満であり、ほぼ予定通りの使用であった。
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