研究課題/領域番号 |
16K09338
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
芳賀 弘明 山形大学, 医学部, 助教 (70466613)
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研究分担者 |
邵 力 山形大学, 大学院医学系研究科, 助教 (80344787)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Extracellular Vesicles / 肝幹細胞 / 間葉系幹細胞 / 急性肝不全 |
研究実績の概要 |
劇症肝炎を含む急性肝不全は死亡率が高く、肝臓移植に代わる治療の開発が待たれているが、まだ、十分な効果のある治療法は開発されていない。 細胞から放出される細胞外小胞であるExtracellular vesicles(EV) 内にはprotein、RNA、DNAなどが含まれており、細胞間のコミュニケーションに重要な役割を持っていると考えられている。私たちは肝幹細胞や間葉系幹細胞由来のEVを用いた急性肝不全の治療の開発を目指している。 平成28年度は間葉系幹細胞および肝幹細胞のそれぞれの培養液から、Ultracentrifugation法にてExtracellular Vesicles(EV)の採取を行い、それらのEVをナノ粒子解析装置やexosomeマーカーの検討からexosomeの豊富なEVであることが判明した。 さらに、D-galactosamine+TNF-αを腹腔内投与し急性肝不全マウスモデルを作成したが、それらのマウスは7時間前後に急性肝不全で死亡することを確認した。その後、急性肝不全マウスモデルに間葉系幹細胞由来のEV(MSC-EV)またはPBSを尾静脈投与し、1時間、3時間、6時間後にsacrificeし肝臓および血液を採取し、肝組織学および血液生化学検査を行った。MSC-EV群はコントロー群(PBS)に比べ有意に肝機能を改善させ、肝組織の壊死やアポトーシスを改善させることがわかった。今後は、肝幹細胞由来のEVの急性肝不全マウスモデルへの効果について検討し、さらにEV内のmicroRNAやlong noncording RNAを解析し、急性肝不全に対するEVのメカニズムを解明する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒトの肝幹細胞採取が困難であったため、マウスの肝幹細胞を使用することとしたが、培養液に添加する増殖因子(HGFおよびEGF)の濃度や培養時間の検討に時間がかかってしまい、肝幹細胞由来のEVを採取するのに時間を要した。そのため、まだ、肝幹細胞由来のEVの急性肝不全マウスモデルへの投与の検討は行われていない。しかし、肝幹細胞由EVの採取は平成28年度中に終わっているため、平成29年度初旬には肝幹細胞由EVの急性肝不全マウスモデルへの投与の検討を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
新年度は、肝幹細胞由来EVを急性肝不全マウスモデルへ投与する検討を行う。さらに間葉系幹細胞や肝幹細胞由来のEV内のRNAを抽出し、microRNAやlong noncording RNAの解析を行い、肝再生に関与する因子をしぼりこむ予定である。また、肝細胞障害モデル(in vitro)において、それらのRNAが肝再生のメカニズムに関与しているか検討する方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
肝幹細胞由のEVの採取が遅れたため、平成28年度予定であった肝幹細胞由EVの急性肝不全マウスモデルへの投与の検討は平成29年度に行うことになり、試薬が平成29年度に持ち越しとなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度に次年度使用額を用いて、免疫染色の抗体を購入し、肝幹細胞由EV投与後の急性肝不全マウスの検討を行う予定である。
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