研究課題
非アルコール性脂肪性疾患(NAFLD)は、日本や米国のなどの先進国における肝障害の原因としてもっとも頻度の高いものであり、その中でも、脂肪肝には慢性炎症を伴い、肝硬変、肝癌への経過をたどる非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)が大きな問題となっている。今回、我々は、マクロファージの集活性化)に関与し、自然免疫と獲得免疫の両免疫系系に関与するマクロファージ遊走阻止因子(MIF: Macrophage Migration Inhibitory Factor)のNASH/NAFLDの肝発癌に関与している知見を得て解析を進めた。WT(野生型マウス)およびMIF-KO(MIFノックアウトマウス)に24週間、72週間の普通食、高脂肪食負荷を行い解析したところ、24週間の時点で、高脂肪食負荷MIF-KOでは、メタボリック症候群に類似したインスリン抵抗性に起因する、体重の増加、肝臓/体重比の増加、肝組織中における中性脂肪濃度の上昇、病理学的に肝臓の脂肪沈着,肝線維化が促進されること明らかにし、このメカニズムにAMPKのシグナルが関与していることを明らかにした。また、72週間の時点で、野生型マウスと比較してMIF-KOでは肝脂質沈着および肝線維化が促進されることが著明になった一方で、肝腫瘍の発生は野生型マウスにおいて抑制されるという知見を得て、腫瘍細胞と炎症細胞の相互作用に着目して、MIFの肝腫瘍抑制メカニズムを明らかにした。我々はさらにアルコール性脂肪性肝炎におけるMIFの役割につき更なる解析をすすめている。今回の非アルコール性脂肪性肝炎との共通点、相違点を解析することで脂肪性肝炎発症のメカニズムが明らかになることが期待される。
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Obes Surg .
巻: 29 ページ: 1195-1201
10.1007/s11695-018-03641-2.