研究課題
エピジェネティクスは、DNAの塩基配列の変化を伴わない転写調節機構の1つであり、様々な癌関連遺伝子の発現調節に関与していることが知られている。こうした調節機構の破綻は、癌化や癌の進行に密接に関与するため、エピジェネティック異常の重要性はきわめて高い。クロマチンリモデリング因子には、SWI/SNF,ISWI,CHD,INO80,などが知られている。ARID遺伝子群(ARID1A, ARID1B, ARID2)はSWI/SNF複合体のコアな構成分子であり、肝癌の半数以上の症例において、機能喪失型の変異があることが報告されている。当該年度においては、Sh-RNAを用いた肝がん細胞におけるloss-of-function assayを進めており、増殖能、スフェア形成能などの解析を行った。
3: やや遅れている
in vitroの解析を中心に研究を遂行しているが、これまでに得られたデータの解析やベクター構築などに予想以上に時間を要した。研究の方向性は確立しており、今後本研究を加速する予定である。
近年、悪性黒色腫細胞においてSWI/SNF複合体の一つであるPBAF複合体の中心的構成分子であるARID2のみならず、PBRM1やBRD7などが細胞障害性T細胞による腫瘍細胞排除に関与していることが明らかにされている(Pan et al, Science 2018;359:770-5)。こうした遺伝子の機能喪失が免疫チェックポイント阻害剤の抗腫瘍効果を高める可能性があり、本研究においても検証する予定である。
今年度はこれまでの研究により得られたデータの解析および今後の方針決定を中心に研究を進めたため、未使用額が生じた。これは、来年度の本研究課題の総まとめの実験や成果発表のために使用する予定である。
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