研究実績の概要 |
Semaphorin ファミリーは血管新生、癌の発症、免疫調節など多彩な機能を有する。我々は分泌型Semaphorinの一つであるsemaphorin3Gに着目した。まず、超高脂肪コリン欠乏メチオニン減量食を用いて、NASHならびに肝線維化のモデルを作成したところ、KOマウスでは野生型と比較して、体重が減少する傾向が見られた。AST, gGTPもKOで減少していたが、組織学的には脂肪滴の蓄積に差は見られなかった。一方で、マッソン、トリクローム染色とシリウスレッド染色においても、線維化が減少する傾向が見られた。Tnfa, 1型コラーゲンの発現減少、肝内マクロファージの浸潤も減少していた。一方で、超高脂肪コリン欠乏メチオニン減量食は短期間に線維化所見を得ることができるメリットがあるが、非生理的なモデルであることから、8週間の高脂肪食負荷による検討を追加で行なった。すると、野生型では72%の体重増加がみられたのに対し、Sema3G KOでは53%の増加にとどまった。GTT, ITTによる耐糖能の評価でも、Sema3G KOマウスは野生型と比較して、血糖が低くインスリン感受性が良好であった。組織学的にも、KOマウスの肝臓はより脂肪滴の蓄積が少ない傾向が見られた。AST,ALT, gGTP, I型やIII型コラーゲンの発現も定量的PCRにて減少傾向にあり、組織の線維化も抑制される傾向が示唆された。以上より、Sema3Gを抑制することは、Nashならびに肝の線維化において有用である可能性が示唆された。
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