研究課題
昨年度はSemaphorin 3G (Sema3G)ノックアウト(KO)マウスに高脂肪コリン欠乏メチオニン減量食(CDAFHD)を負荷し、肝臓線維化における表現形を観察した。本年度は、通常の高脂肪食(HFD)を付加し、NAFLDならびにNASHにおけるSema3Gの意義について検討した。すると、KOマウスにおいては、HFD負荷後の体重増加が少ないこと、糖負荷試験後の血糖上昇が少なくインスリン負荷試験で野生型と比較して良好な血糖低下を示すことがわかり、耐糖能が改善しているものと思われた。組織学的には、野生型とKOマウスの間に、明らかな脂肪肝や肝臓の線維化の差異は認められなかった。一方で、脂肪組織に浸潤しているマクロファージの数は、KOマウスでは減少しており、脂肪組織の慢性炎症が軽減されている可能性が示唆された。さらに、これらの表現型を支えるメカニズムを解明するために、脂肪組織のRNAを対象としてRT-PCR法を用いて遺伝子発現の検討を行った。しかし、UCP1、PPARγ、CEBPs などの脂肪分化関連遺伝子、IL6、MCP1などの炎症関連遺伝子のいずれも、KOにおいて変化は認められなかった。また、In Situ Hybridizationにより、肝臓においては Sema3Gは血管内皮細胞の一部に発現していることが判明している。以上より、当初、Sema3Gは脂肪肝形成や肝線維化に抑制的に働くと仮想していたが、逆にSema3Gが欠損している方が肝の繊維化にはprotectiveに働く事が示唆された。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (6件)
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