研究課題/領域番号 |
16K09344
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
近藤 祐嗣 東京大学, 医学部附属病院, 登録診療員 (00572231)
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研究分担者 |
大塚 基之 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90518945)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ウイルス / HBV / microRNA / おとり |
研究実績の概要 |
逆転写酵素阻害剤の普及でウイルス複製を効率的に抑えることができるようになったB型肝炎ではあるが肝発癌は期待ほど減っていない。実際、臨床的にもB型肝炎ウイルスの肝発癌のしやすさは、ウイルス量ではなく実際はウイルス蛋白量と相関するとの報告もある。本研究では、この考えをさらに進めて、『B型肝炎ウイルス関連の病態、特に肝発癌は、ウイルスDNAでもウイルス蛋白が原因なのでもなく、B型肝炎ウイルスゲノムからの転写物であるウイルスmRNAが宿主のmicroRNAとの配列相同性によって「おとり」として働くことによる宿主microRNAの機能の攪乱が原因』との仮説をたて、これを検証し分子機構を解明する。 本年度は ウイルスRNAによってdecoy的に作用されてその機能が低下していると思われるmicroRNAとしてlet-7gを同定した。HBV mRNAのうちHBs抗原 mRNA内の配列に、最も相同性の高い配列として、癌抑制性microRNAであるlet-7と相同性のある配列が認められた。let-7はヒトmiRNAの中でも癌抑制性のmiRNAとしてよく知られているmiRNAである。そこで以下ではHBs mRNAとlet-7gとの相互作用について検討を加えていくこととしたこのlet-7gの機能を増強する化合物をスクリーニングするために let-7gの遺伝子座にluciferase遺伝子をノックインしたレポーターコンストラクトを持つ細胞株を樹立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HBVウイルスと相互作用する可能性のあるmicroRNAを相同性と機能の検討から同定した。さらにそこへの介入法を探索するためのコンストラクトの作成も終了した。
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今後の研究の推進方策 |
let-7gの発現ないし機能を増強する化合物をhigh-throughputに探索・同定し、その表現型およびメカニズム解析を行っていく予定としている。
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