研究課題
今年度はHBVコアプロモーターレポーター細胞を用いて海洋生物由来テルペン系化合物15種類についてHBVコアプロモーターの転写抑制活性を検討した。その結果、沖縄県近海に生息するカイメンDactylospongia metachromia由来化合物のmetachromin Aおよび沖縄県近海に生息する未同定のカイメン由来化合物のKalihinol Eがヒット化合物として得られた。更に、これらの2つの化合物のHBV増殖抑制活性について検討したところ、metachromin A はHBVの増殖を強く抑制したが、Kalihinol Eは細胞毒性が強くHBVの増殖抑制活性は弱かった。そこで、以後、metachromin Aについて解析を進めた。次に、5種類の類縁化合物を使って構造活性相関を検討したところhydroquinone基および5位、9位の2重結合が転写抑制活性に重要な部位であることがわかった。また、metachromin AのHBVコアプロモーターの転写抑制活性の作用機序を検討したところ、metachromin AはHNF4αの転写レベルを抑制するのではなく、HNF4αのタンパクの分解を促進しHBVコアプロモーターの転写活性を抑制することを見出した。更に、metachromin AはHBVコアプロモーターのみならずHBVエンハンサーIの抑制活性もあることを見出した。沖縄近海に生息する海洋生物の抽出物100種からエンハンサーIを抑制活性するものをsクリーニングした結果、一つの海洋生物抽出物でエンハンサーIの抑制活性が見られたことを昨年度報告した。この海洋生物抽出物から抑制化合物の分画・精製を行っているが、これまでのところその単離には至っていない。
2: おおむね順調に進展している
海洋生物由来の化合物の中からHBVコアプロモーターを抑制しHBVの増殖を抑える化合物を見出し、更に、その抑制機序についても確認することが出来た。従って、申請書の実験計画通りに進んでいる。
新たな海洋生物由来の化合物を入手出来たので、HBVコアプロモーターおよびエンハンサーIの活性を抑制する化合物を探索する。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) 備考 (2件)
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