研究課題
● 抗ウイルス治療によって大きく進歩したウイルス性肝炎において残された最大の問題は、抗ウイルス治療後に発生する肝癌の克服である。本検討では、次世代シークエンス技術を用いた肝炎ウイルスおよび宿主遺伝子の解析により、肝発癌リスク、治療標的分子、バイオマーカー等を明らかとすることを目的とした。●C型肝炎においては、H30年度は直接抗ウイルス薬(direct acting antiviral agents; DAA)によりウイルスが消失した446症例において肝発癌リスクについてウイルスゲノムと宿主因子について検討を行い、その結果、治療前のコア70番変異と宿主因子IL28B SNPの組み合わせによって、ウイルス消失後の肝癌発生率が大きく異なることを見出した。興味深いことにインターフェロン抵抗性と関連するウイルス因子コア70番変異型とインターフェロン感受性と関連する宿主因子IL28B TTの組み合わせを治療前に有する場合に最も肝発癌が生じやすいことを明らかとした。●B型肝炎においては、核酸アナログによるウイルス治療中であっても、HBs抗原とHBコア関連抗原定量検査の組み合わせにより、肝発癌高リスク症例を囲みうること、またこれらのHBs抗原、HBコア関連抗原定量値の変化にはpreS/S領域変異が重要な意義をもち、シークエンス情報が重要なこと、またpreS/Sゲノム領域において最も病態と関連するpreS aa.132-141領域をdeep sequenceにより明らかとした。●肝癌ゲノムについては、H30年度において肝癌診断・治療経過におけるバイオマーカーとして、患者血清(血漿)を用いたリキッドバイオプシーによるhTERTプロモーター変異検出系を構築した。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件)
Hepatol Res
巻: 49 ページ: 51-63
10.1111/hepr.13277
PLoS One
巻: 14 ページ: e0212559
10.1371/journal.pone.0212559
J Gastroenterol
巻: 53 ページ: 1168-1169
10.1007/s00535-018-1493-8
巻: 53 ページ: 780-786
10.1007/s00535-017-1405-3