研究課題
本研究では、肝臓、骨格筋、内臓脂肪等で形成される臓器間ネットワークの制御を介したメタボ肝発癌予防法の開発をめざしている。昨年度までに、レチノイドシグナルの活性化がNASH関連肝腫瘍形成を抑制することを報告してきたが、当該年度の基礎研究の成果として、合成レチノイドがMYCN陽性liver cancer stem cellを標的とすることで肝発癌を抑制することを明らかにした(Proc Natl Acad Sci USA. 2018)。本件研究成果は、レチノイド関連シグナルの制御が、(肥満・生活習慣病関連も含めた)肝発癌の抑制をめざす上で重要なtargetであることを改めて示すものである。また糖尿病治療薬SGLT-2阻害剤Tofogliflozinが肥満・糖尿病関連肝腫瘍形成を抑制することも報告した(Oncotarget. 2017)また臨床研究の成果としては、NASHを含めた慢性肝疾患患者のデータベースの充足をはかり、高用量ループ利尿剤の使用は肝硬変患者の骨格筋量減少と予後悪化に関連すること(Hepatol Res. 2019)、インスリン抵抗性および内臓脂肪の増加は、肝細胞癌根治的治療後の再発リスクを増加させること(Int J Mol Sci. 2019、Oncotarget. 2018)を明らかにした。これらの研究成果は、臓器間ネット-ワークにおける「肝・筋・脂肪相関」の異常、特にインスリン抵抗性が、肝硬変・肝細胞癌患者の予後やQOLに大きく関与している可能性を示唆するものである。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件)
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