研究課題/領域番号 |
16K09355
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
杉本 和史 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (60378370)
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研究分担者 |
江口 暁子 三重大学, 医学系研究科, 特任助教(研究担当) (00598980)
白木 克哉 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (90263003)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 肝臓学 / 脂肪肝 / 動脈硬化 |
研究実績の概要 |
平成28年度はまず脂肪肝マウスの作成を行った。生後4週の雄マウスをコントロール群と高脂肪食群にわけた。さらに高脂肪食群を4週群、8週群、12週群、16週群に分けた。それぞれの群には最低4匹を含むようにした。これらのマウスにコントロール食、もしくは高コレステロール+高フルクトース食を与え、4週、8週、12週、16週で糖負荷試験を行い、翌日にsacrificeし、血液、肝組織、精巣周囲脂肪組織を採取した。高コレステロール+高フルクトース食群では経時的に耐糖能異常が出現した。また、肝組織HE染色では、肝細胞への脂肪沈着が経時的に増加することが確認された。今回の肝組織には線維化はほとんど来していなかった。血液より細胞外粒子を抽出し、フローサイトメトリーにより解析した。高コレステロール+高フルクトース食群では経時的に血液中の細胞外粒子が増加することが確認された。今後の検討に使用するため残りの血液、肝組織、脂肪組織を凍結保存した。また、細胞外粒子を可能な限り多く採取するため、現在再度マウスに高コレステロール+高フルクトース食を与え飼育中である。 同時に培養肝細胞での検討も行った。HepG2に250μMのパルミチン酸を添加し、翌日培養上清より細胞外粒子を抽出した。培養細胞でも脂肪酸の添加により細胞外粒子分泌量が増加することが示された。更に、この粒子が動脈硬化発症に影響を与えるかどうかを確認するため、培養血管内皮細胞であるHUVEC細胞に添加し細胞内での遺伝子発現、蛋白発現の変化を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスにおいては高コレステロール+高フルクトース食を与えることで、脂肪肝が出現すること、また、血液中の細胞外粒子が増加することを確認可能であった。また、細胞外粒子の抽出および検出法の技術的な確立が可能であった。また、同様の方法を用いて培養肝細胞に関しても脂肪酸の添加により細胞外粒子の分泌が増加することを確認可能であった。
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今後の研究の推進方策 |
まずは培養細胞を用いたシステムを用いて脂肪肝と動脈硬化の関連を解析する。 具体的には、パルミチン酸負荷によりHepG2より分泌された細胞外粒子を抽出し、血管内皮細胞細胞であるHUVECと共培養を行う。HUVECにおける動脈硬化と関連する因子(内皮障害関連因子、増殖因子、接着因子等)の発現の変化、細胞増殖能の変化を解析する。また、動脈硬化には血管平滑筋も大いに関連しているため、細胞外粒子による平滑筋細胞への変化も同様に検討する。内皮細胞、平滑筋細胞いずれも変化を起こし得る最適の条件(脂肪酸濃度、培養時間等)を培養肝細胞を用いて検討する。 前述の検討により、培養細胞での実験法が確立したら、次には脂肪肝マウス血中より抽出した細胞外粒子でも同様の検討を行う。得られた細胞外粒子と血管内皮、平滑筋細胞と共培養し、遺伝子発現、細胞増殖に与える影響を検討する。また、同時に血中で増加した細胞外粒子が肝細胞由来であることも確認する。最終的には肝細胞より由来する動脈硬化関連細胞外粒子が実際にヒトでも存在するか否かを脂肪肝患者血液中の細胞外粒子を用いて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は主にマウスでの脂肪肝作成に費やしたため、試薬、物品の購入額が当初の予定より少なくなったため翌年に繰り越しとした。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度では培養細胞を用いたシステムを用いて脂肪肝と動脈硬化の関連を解析する。 具体的には、パルミチン酸負荷によりHepG2より分泌された細胞外粒子を抽出し、血管内皮細胞細胞であるHUVECと共培養を行う。HUVECにおける動脈硬化と関連する因子の発現の変化、細胞増殖能の変化を解析する具体的にはNO,eNOS、ICAM-1、TIMP3等の変化を確認する。また、動脈硬化には血管平滑筋も大いに関連しているため、細胞外粒子による平滑筋細胞への変化も同様に検討する。内皮細胞、平滑筋細胞いずれも変化を起こし得る最適の条件(脂肪酸濃度、培養時間等)を培養肝細胞を用いて検討する。
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