研究課題
Global RNAiスクリーニング法の結果を参照し、EpCAM陽性肝癌細胞の維持に重要な役割を果たす遺伝子の候補として、PMPCBを選出した。5種類のPMPCB shRNAをレンチウイルスベクターを用いてEpCAM陽性のHuH1細胞およびHuH7細胞に感染させたところ、いずれのshRNAを導入した群においても、qRT-PCRおよびflow cytometryにてEpCAM発現の有意な低下が認められた。また、上記2種類の細胞株にPMPCB shRNAを導入し、colony formation assay, spheroid formation assayおよびcell titration assayを施行したところ、PMPCB-shRNAが細胞コロニー形成の抑制、スフェロイド形成抑制、細胞増殖の抑制に強く関与していることが判明した。一方、PMPCBがミトコンドリア機能の維持における役割を明らかにするため、上記と同様にHuH1細胞およびHuH7細胞にPMPCB-shRNAを導入し、ミトコンドリア機能の指標である酸素消費率・ATP産生能・活性酸素産生量について検討したところ、PMPCB-shRNA導入群においては酸素消費率とATP産生の低下を認め、活性酸素産生量については上昇を認めた。これらの結果はミトコンドリア機能がPMPCB-shRNAによって障害されていることを表しており、PMPCBがミトコンドリア機能の維持に必須の分子であることを示唆するものと考えられる。
2: おおむね順調に進展している
平成28年度は、PMPCBとEpCAMの発現の相関関係およびEpCAM陽性細胞の増殖におけるPMPCBの役割を示すことを第一の目標としていたが、in vitroの実験でPMPCBがEpCAM陽性細胞の維持およびその増殖に必須であることを示すことができたため、研究計画は概ね順調に進展しているものと考えている。また、ミトコンドリア蛋白の処理に関わる本分子がミトコンドリア機能の維持に強くかかわることを示すことができたのも大きな進展と考える。
次年度以降はPMPCBAがEpCAM陽性細胞の維持にどのように関わっているのか、そのメカニズムに関してin vitroおよびin vivoの両面より検討を行う予定である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件)
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