研究課題/領域番号 |
16K09361
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
正木 勉 香川大学, 医学部, 教授 (30335848)
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研究分担者 |
谷 丈二 香川大学, 医学部, 協力研究員 (00596075)
小原 英幹 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (10612476)
岩間 久和 香川大学, 総合生命科学研究センター, 准教授 (20398035)
森 宏仁 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (20568844)
藤田 浩二 香川大学, 医学部附属病院, 病院助教 (50749421)
森下 朝洋 香川大学, 医学部附属病院, その他 (60423430)
野村 貴子 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (70645415)
米山 弘人 香川大学, 医学部, 助教 (80294750)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 肝細胞癌 / Gal-9 |
研究実績の概要 |
我々が、見出した新しい生理活性物質ガレクチン-9(Gal-9)が、肝細胞癌に対して、抗腫瘍効果があることを示し、その機構としてGal-9が腫瘍細胞内・組織内のmicroRNAを変化させることにより、抗癌作用を有することを証明してきた。まず、昨年度は、Gal-9が、肝細胞癌、胆管細胞癌のみならず、他の消化器癌においても、抗腫瘍効果を持つことを調べた。その理由として本研究の目的である、Gal-9の肝癌の増殖抑制作用によってエクソソーム(細胞外分泌小胞) microRNAの変化が同じであるかどうかを検索したいためである。 ①Gal-9の投与により、肝がん細胞株のエキソソーム内に特異的に発現増強、減弱するマイクロRNAのターゲット遺伝子予測 Gal-9の投与によって、エクソソーム内microRNAが、ターゲット分子を制御するかを予測検討する。Gal-9投与により、肝癌細胞抑制効果に関連するエクソソームmicroRNAのターゲット遺伝子の実験的確証実験を行う。さらに、癌細胞抑制効果に関連するエクソソームmicroRNAの機能解析をGal-9において癌抑制効果に関連すると予測されたmicroRNAをリポソーム法によりその合成マイクロRNA前駆体分子あるいは、マイクロRNA活性を下げる合成マイクロRNA阻害分子を癌細胞内に導入し、細胞増殖能、アポトーシスの誘導を観察する。 ②エキソソームの細胞外の放出 Gal-9の添加の有無によるエクソソームの放出量を単離されたタンパク量で比較検討する。 ③細胞内への取り込み実験 肝癌細胞株Huh-7から単離したエクソソームを蛍光色素PKH26(赤)で標識し、24時間後、培養中の正常肝細胞(hNHeps), Huh-7に添加し、蛍光顕微鏡で観察し、どちらの細胞に取り込みやすいのか検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Gal-9の抗腫瘍性効果が肝癌細胞から放出されたエクソソーム内のmicroRNAの発現動態に関与し、それらのmicroRNAが Gal-9の癌抑制機構に関連しているのかの検討を行った。現在、胆管細胞癌HuCCT-1( Gal-9抗腫瘍効果を示す細胞株)のエキソソームの単離に成功し、Gal-9投与・非投与によってそのエクソソーム内の、2555種類のマイクロRNAの発現プロファイリングのパイロットスタディーを行ったところ、Gal-9の投与・非投与のマイクロRNAのプロファイリングは明確に異なることが判明した。 さらに肝癌においても同様な検討を行い、胆管細胞癌と共通しているmicroRNAをPCRで確認作業を行った。さらに、膵癌などの研究も行い、論文作業をしている。
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今後の研究の推進方策 |
①平成28年、29年で遂行できなかった実験を行う。 ②慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌患者における血清中のエクソソームのmicroRNAの網羅的解析を行い、臨床パラメーターとの関連性を検討。各々の病態のサンプル数は、治療前の20症例を行い、各病態におけるバイオマ-カ-の絞り込みを行う。
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