研究課題
G0S2蛋白は細胞周期に関する蛋白として発見されたが、近年はATGLを抑制する作用が報告され、脂質代謝における調節因子の一つとして注目されている。本研究ではアデノウイルスでG0S2蛋白を肝臓に過剰発現させ、G0S2蛋白が肝臓でのインスリン感受性に及ぼす影響及び作用機序について検討した。6週齢、雄、Wistarラットを通常餌、高脂肪餌で3週間飼育後、G0S2蛋白を過剰発現するアデノウイルス(Ad-G0S2)、コントロールウイルス(Ad-GFP)を投与した。通常餌+Ad-GFP群、通常餌+Ad-G0S2群、高脂肪餌+Ad-GFP群、高脂肪餌+Ad-G0S2群の4群で、アデノウイルス投与1週間後に、経静脈的ブドウ糖負荷試験と高インスリン正常血糖クランプ検査にて、耐糖能及びインスリン感受性を評価した。経静脈的ブドウ糖負荷試験ではAd-G0S2投与により通常餌群で血糖値の有意な変化はなかったが、高脂肪餌群ではコントロールと比較して負荷後15分の血糖値有意に上昇し耐糖能の悪化が認められた。高インスリン正常血糖クランプ検査では、高脂肪餌+Ad-G0S2群でコントロールと比較してGIRが約15%有意に減少し、全身のインスリン抵抗性の増悪を認めた。IS-GDRは有意な差を認めなかったが、cHGOは約30%有意に増加し、肝臓でのインスリン抵抗性の悪化を認めた。Aktのセリンリン酸化については、高脂肪餌+Ad-G0S2群の肝臓でのみコントロールと比較して有意な減少を認めた。Oil Red O染色では高脂肪餌+Ad-G0S2群にてコントロールと比較して2.5倍の脂肪沈着増加を認め、脂肪肝の悪化を認めた。以上の結果より、高脂肪負荷によるインスリン抵抗性状態では、肝臓でのG0S2蛋白の発現は、脂肪肝を増悪させ、肝臓でのインスリン抵抗性を増悪させることが明らかになった。
2: おおむね順調に進展している
通常餌による正常耐糖能状態および高脂肪餌負荷によるインスリン抵抗性状態で、肝臓でG0S2過剰発現によるインスリン感受性を評価できた。
高脂肪食負荷によるインスリン抵抗性状態で、G0S2過剰発現により脂肪肝が増悪したがその機序について検討する。
2016年11月より所属が、福島県立医科大学から順天堂大学に異動に伴い、手続き等に時間がかかり、使用が遅れた。
1)消耗品:正常血糖・高インスリン・クランプ検査のマイクロ・カテーテルなどの器具、ラジオアイソトープ(D-[3-3H]glucose)、検査費用(血糖、インスリン、FFA、血清脂質プロフィル、TNFα、レジスチン、レプチン、アディポネクチン、は測定キットの購入など。2)旅費:日本糖尿病学会学術集会及びアメリカ糖尿病学会で研究成果の発表のための宿泊費及び交通費。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 13件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 10件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 3件)
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