研究課題
G0S2蛋白は細胞周期に関する蛋白として発見されたが、近年はATGLを抑制する作用が報告され、脂質代謝における調節因子のひとつとして注目されている。 本研究ではアデノウイルスを用いてG0S2蛋白を肝臓に過剰発現させ、G0S2蛋白が肝臓でのインスリン感受性に及ぼす影響及び作用機序について、様々なインスリン抵抗性モデル動物で検討した。昨年度、雌Wistarラットにおいて肝臓でのG0S2過剰発現はインスリン感受性に影響を及ぼさなかったが、卵巣摘出よるエストロゲン欠乏状態のWistarラットでは、肝臓でのG0S2過剰発現は、肝臓でのインスリン抵抗性を増悪させた。本年度は、肝臓におけるインスリンシグナル及び組織学的評価を行った。肝臓のAktセリンリン酸は、卵巣摘出によるエストロゲン欠乏状態でのG0S2過剰発現群においてのみ有意な減少を認めた。Oil Red O染色では、卵巣摘出によるエストロゲン欠乏状態でのG0S2過剰発現群において、約3倍の脂肪沈着の増加を認め、脂肪肝の悪化を認めた。しかし、線維化を評価するMasson's Trichrome染色法では、卵巣摘出によるエストロゲン欠乏状態でのG0S2過剰発現群で、線維化が有意に抑制され、さらにTGF-βおよびSmad2の発現も有意に低下しMasson's Trichrome染色法の結果と一致した。以上の結果より、エストロゲン存在下では、肝臓でのG0S2蛋白の過剰発現はインスリン感受性に影響を及ぼさなかったが、エストロゲン欠乏状態では、肝臓でのG0S2蛋白の過剰発現は、脂肪肝を増悪させ、肝臓でのインスリン抵抗性を増悪させるが、肝線維化を抑制することが明らかになった。脂肪肝を伴ったインスリン抵抗性状態では、G0S2がインスリン抵抗性の増悪因子となるが、肝臓での線維化は抑制する可能性が示唆された。
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