研究実績の概要 |
引き続き実験は培養細胞と動物実験の両方を平行して進めている。ヒト星細胞(cell line LX-2)、ヒト血管平滑筋細胞(PCS-100)、を培養しcollagen I, PDGFR,HNF1, AFP,TGFβ,TNFα,PPARα、PPARγの各遺伝子発現を追加定量した。Western blotting法にて同様にたんぱく発現定量試みた。肝臓内皮細胞(HEC)においても同様にその遺伝子発現定量を試みた。 内皮細胞培養が当初うまくいかなかったが培養条件を変化させることにより培養自体は可能となった。VEGF刺激によるPDGF-BB産生の変化の観察は細胞が安定せずいまだ良い結果が出ていない。 またATBF1強制発現、siRNAによる発現抑制を星細胞、平滑筋細胞を使用し実験した。それぞれの状態でcollagen I, PDGFR,HFN1, AFP,TGFβ,TNFα,PPARα、PPARγの各遺伝子発現の変化を定量した。しかし強制発現系のデータは細胞状態が不安定で解析にはさらなる回数が必要である。 In vivo実験は現在loxP系で挟まれたATBF1 floxマウスを樹立した。Estrogen receptorによってCre酵素の発現誘導がかかる(Tamoxifen誘導型)CreERT2マウスと交配し作成した。しかし当初使用する予定のマウスでは生後2日目にStreptozotocinを皮下注し4Wから高脂肪食を与えNASH肝癌モデルを作成する方針であったがその後同マウスがNASHになりずらいことが判明したため他の高脂肪食NASHモデルラットでの実験を検討した。しかしそのようなラットでは発がんまでにかなりの年月を要するため現在数種類のモデルで実験検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
細胞培養は引き続き実験を継続する。発現ベクターはもともとかなりの毒性を持つことがわかっていたので,ある程度実験に難渋することは予想していたが予想以上に実験データが安定していない。再度トランスフェクションの条件や試薬の変更等を検討して実験を組みなおす必要がある。 NASH作成モデルに関しては市販されているものを含めいろいろあるがSTAMマウスの特徴はわずか8週で肝炎が完成し非常に早期に肝硬変、肝癌の出現がほぼ100%でできるという触れ込みであった。しかし実際はNASHが発症しないものや肝硬変にならないものがかなりの率で出ることが我々の他の実験で判明した。高脂肪食ラットを使用して肝硬変を作成する方向であったが,発がんに時間がかかり実験の進行に支障がでるため,CDAAマウスを使用して発がん実験を検討している。
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