研究課題/領域番号 |
16K09366
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
飯島 沙幸 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (00416273)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | HBV / 肝線維化 |
研究実績の概要 |
HBV感染によって誘導される肝線維化メカニズム解明のため、細胞内にHBV粒子が存在する状況下で細胞ストレスが発生しているか検証した。まず細胞培地中のテトラサイクリンの有無でHBV産生誘導できる細胞株HepAD38.7を利用し、HBV産生によって細胞内ストレスシグナルがどのように変動するか検討した。HBV産生誘導開始からウイルス抗原量、ウイルスDNA量を測定しHBV産生を確認するのと並行して、代表的な細胞ストレスである小胞体ストレス関連遺伝子(PERK、ARF6、IRE1a、Grp78、eIF2a、ATF4、XBP1 等)抗ROS産生関連遺伝子(SOD、Keap1 等)の発現量をリアルタイムPCRで測定した。ウイルス増殖はDay10でピークに達したのに対し、ストレス関連遺伝子は殆ど変動を示さなかった。 次にHBV時速感染状態における細胞ストレスの状態を検証するため、ヒト肝臓細胞を肝臓障害SCIDマウスに移植したヒト肝キメラマウス由来のprimary human hepatocytes:PHHに対しHBVを感染させ、長期感染状態を維持しつつ細胞ストレス関連遺伝子の変動をリアルタイムPCRで解析した。PHHにおいてDay40まで感染を維持し、小胞体ストレス関連遺伝子、抗ROS産生関連遺伝子等の発現を検出したところ、殆どの遺伝子において発現の変動は見られなかった。 in vitro実験系では細胞ストレスの変動を検出できなかったので、次にヒト肝キメラマウスへのHBV感染実験で得た肝臓組織を用いてストレス関連遺伝子の発現変動を解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
HBVによる細胞ストレス誘導実験系(in vitro)がうまくいっていない。HBV産生細胞のHepAD38.7もしくは遺伝子導入によるHBV産生に用いられるHuh7細胞に対し、細胞輸送阻害剤を添加した場合は細胞ストレス関連遺伝子の発現が上昇している。どちらの細胞株も、少なくとも小胞体ストレスに対する関連遺伝子発現の変動が確認されたので、HBVウイルス量の不足、HBV産生の維持時間不足等々が理由で細胞ストレスが生じていないと考えられる。現在の実験系の改善、あるいは他の実験系検討のための時間が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
細胞ストレスが誘導されるHBV産生。感染実験系の再検討・選択を行う。HepAD38.7ではDay10まで、PHH感染でもDay40までのモニターだったので、ヒト肝キメラマウスへのHBV感染実験で得た肝臓組織を用いてストレス関連遺伝子の発現変動を解析する。またストレス誘導に十分なHBV産生を得るため、transfection実験系も検討し多量のウイルス・ウイルスタンパク質による細胞ストレス誘導を検証する。以上の結果、in vitro実験系では解析困難との結果となったらTg mouse等のin vivoでの解析系を検討する。 またこれまでリアルタイムPCRでのストレス関連遺伝子の変動を検出してきたが、小胞体ストレスは関連蛋白のリン酸化によるシグナル伝達が行われるのでウェスタンブロッティングなどタンパク質リン酸化の検出方法も取り入れる。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)研究計画に沿って実験を進めて椅いるが計画より遅れ気味である。当該研究計画を進めるための実験系検討を行い必要があり、平成30年度も継続して実験を行えるよう予算を継続したい。 (使用計画)実験計画の見直しのため新規抗体の購入等が追加される予定であるが、基本的に初年度・次年度同様の実験関連の消耗品・試薬を購入するために用いる(物品費に当たる)。内訳は細胞培養関連物品・遺伝子解析試薬などである。 人件費・謝金等は生じない予定である。大型備品の購入予定はない。
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