研究課題
経口IFNフリー治療によりC型慢性肝炎のほぼ100%に持続的ウイルス排除(SVR)が可能になったが、高齢化し肝線維化が進行した我が国の患者においては、SVR達成後も相当の割合で肝発がんが起こる。そこでSVR後に非侵襲的マーカーなどにより高リスク症例を囲い込む体制の構築が望まれる。我々はC型慢性肝炎の肝線維化過程においてマイクロRNAが深く関係することを明らかにした(Gut 2012)。今回の研究では、C型慢性肝炎からSVRを得た患者の血中で肝線維化の進展に関連して変動し、バイオマーカーとして利用可能なマイクロRNAを同定することを目的とした。対象はSVRを獲得したALT正常化例のうち、同意が得られた51例(65±10歳、女性28例、ALT 19±12 U/L、血小板数17.8±5.4万/μL)に、治療終了後41±20週に肝生検を行なった。SVR後肝生検のA因子(0/1/2/3)は18/24/8/1例、F因子(1/2/3/4)は3/20/15/9/4例であった。20例では治療前との比較が可能で、A因子は1.3±0.6→0.7±0.9(改善13/不変6/悪化1例)と有意に改善したが(p=0.0043)、F因子の変化1.8±1.0→1.7±1.3(改善5/不変11/悪化4例)は有意でなかった(p=0.45)(UEGJ 2018)。肝組織HCV RNAのリアルタイムPCRを行ないえた25例は、いずれも陰性であった(Gastroenterology 2017)。マイクロアレイを用いて肝内と血中のマイクロRNAの発現プロファイルを網羅的に解析し、線維化ステージ別の比較、治療前後の比較、発がんの有無による比較などを行った。マイクロアレイ解析の結果、肝線維化、肝発がんに関与していると想定されるマイクロRNAの血中での変化を、リアルタイムPCRを用いて定量的に解析した(投稿準備中)。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
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