研究課題
当院に通院中の腸管病変を合併したPSC患者(PSC/UC)18名、PSC非合併UC 16名について、糞便中の腸内細菌の16S rRNAを用いたメタゲノム解析を行い、健常人コントロール(HC)と比較検討した。PSCに合併した腸管病変の内訳はUC 10例、PSC-associated colitis 8例で、既報どおりPSC非合併UCと比較して腸炎の程度は軽症であった。腸内細菌の解析の結果、PSC/UCとUC患者群間で多様性、類似性に有意差を認めなかった。腸内細菌と病態の因果関係を明らかにするために、患者由来糞便微生物を無菌マウスに移入しヒトフローラ化マウスを作製し解析を行った。PSC患者由来糞便微生物を移植したPSCUCマウスにおいて肝臓内TH17細胞の増加を認め、PSCUCマウスの腸間膜リンパ節からKlebsiella pneumonia (KP)、Proteus mirabilis (PM)、Enterococcus gallinarum (EG) のbacterial translocation (BT)誘導菌3菌を分離した。EUB338を用いたFISH法により、上記3菌を移植したノトバイオートマウスにおいてSPFマウスで認められない菌の大腸上皮移行像を認めた。さらに、ヒト腸管上皮オルガノイドとの共培養の結果、PSC患者由来KPは上皮障害能を有し、本菌が腸管バリアの破壊、BT、肝臓TH17誘導を介して病態に寄与する可能性が示唆された。定量PCRの結果、上記BT誘導菌はPSC患者の糞便中に高率に検出され(KP; PSC/UC: 17/18, UC: 5/16, HC: 0/10)、腸管病変を有するPSCの診断マーカー、および治療標的として有用である可能性が示唆された。
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Nature Microbiology
巻: 4 ページ: 492-503
10.1038/s41564-018-0333-1
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2019/1/15/28-50637/