研究課題
オートタキシン(autotaxin: ATX)は lysophospholipase D 活性を有する分泌酵素であり、リゾリン脂質のひとつであるリゾホスファチジン酸(lysophosphatidic acid: LPA)を産生することで種々の病態における線維化や発がんに関与することが知られている。最近では、ATX-LPA axis が慢性肝疾患においても肝硬変への進展や肝がん発症に重要であることが報告されているが、肝再生における役割に関しては不明な点が多い。本研究の初年度は、ラット胆管結紮における肝障害モデルを用い、血中ATX 活性と LPA 量の解析を行なった。胆管結紮により血中トランスアミナーゼ値は上昇し、他の各種肝障害マーカーも高値となったが、ATX 活性と LPA 量に有意な変化はみられず、ATX-LPA axis は少なくとも胆汁うっ滞による肝障害では影響を受ける可能性は低いことが示唆された。又、正常ラットの胆汁中にはオートタキシン活性と LPA は検出されなかった。
3: やや遅れている
研究補助員が退職し、現在後任の選任を検討中である。
肝再生における ATX-LPA axis の役割を検討するに際し、肝再生の誘因となる肝障害自体による影響を明らかにする必要があるが、少なくとも胆汁うっ滞による肝障害自体は ATX-LPA axis に影響を及ぼさないことが示唆されたことより、今後各種肝障害モデルにおける肝再生過程での変化を解析予定である。
研究補助員が退職し研究の進捗が遅延している。
後任の研究補助員の選任が決まり次第、初年度に計画していた実験を行なう。
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