研究課題/領域番号 |
16K09380
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 清顕 愛知医科大学, 医学部, 教授 (50551420)
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研究分担者 |
溝上 雅史 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 肝炎免疫研究センター長 (40166038) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | B型肝炎 / 遺伝子型 / 急性肝炎 / 慢性肝炎 / 系統解析 |
研究実績の概要 |
我々は、これまでの全国調査によりB型急性肝炎における遺伝子型Aの割合が経年的に増加していること、遺伝子型Aによる急性肝炎終息後には他の遺伝子型ではほとんど認めない慢性化を7-8%の症例で認めることを明らかにしてきた(Hepatology 2014, J Gastroenterol Hepatol 2016)。本研究において、前回調査から5年が経過した2016年度にB型肝炎の全国調査を行うことにより、B型急性および慢性肝炎における遺伝子型分布の変遷を明らかにした。これまでに全国でB型急性肝炎127例、B型慢性肝炎2,248例の臨床情報を収集した。また、保存血清は486本収集しており、HBV遺伝子型不明例に関してはELISA法もしくはdirect sequencing後に系統解析を行うことにより遺伝子型を決定した。一部の症例においてエンベロープ蛋白の糖鎖結合部位に関連するアミノ酸配列を決定し、アミノ酸変異と病態との関連を解析中である。 現在までの中間集計結果を以下に示す。B型急性肝炎において遺伝子型解析の結果、遺伝子型Aが61例(48.03%)、Bが15例(11.81%)、Cが50例(39.37%)、Eが1例(0.79%)という結果であった。2011年の前回調査時には遺伝子型Aが47%であったため、前回調査時と遺伝子型Aの割合はほとんど変化していなかった。B型慢性肝炎に関しては、遺伝子型Aが99例(4.38%)、Bが473例(20.93%)、Cが1,659例(73.41%)、Dが26例(1.15%)、Fが2例(0.09%)、Gが1例(0.04%)という結果であった。こちらも前回2011年の集計では、遺伝子型Aは4.1%であったため、B型慢性肝炎における遺伝子型Aの割合は現在までの中間集計では微増にとどまっていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに全国でB型急性肝炎127例、B型慢性肝炎2,248例の臨床情報およびB型肝炎の遺伝子型を明らかにした。また、アミノ酸変異と病態との関連解析も進行中であり、研究は概ね順調に推移している。
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今後の研究の推進方策 |
現在、一部の施設を除きほぼ全国の施設よりB型急性肝炎および慢性肝炎症例の収集を終了した。今後更に収集を進め、今年度中に収集を完了し、詳細な解析に移る。現在までの中間解析の結果では、遺伝子型Aが急性肝炎に占める割合はここ数年間は横ばい、慢性肝炎においては微増という結果である。今後症例集積を終了し、データ解析の最終確認作業に移る。今後はさらにウイルスの遺伝子変異を詳細に解析することにより病態との関連を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部臨床情報および保存血清の収集が翌年度に及ぶため次年度使用額が発生。遺伝子抽出および遺伝子解析に使用予定。
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