研究課題
本年度の研究計画に基づいて以下の研究を実施した。1.p53スプライシングアイソフォームの機能を解析するためにCRSPR/Cas9システムを用いた遺伝子ターゲッティング法によりp53アイソフォームである△40p53および△133p53の内在性遺伝子改変肝細胞株を樹立した(p53 △40/△40、p53 △133/△133)。これらの内在性遺伝子改変肝細胞株はHepG2細胞株を用いて△40p53および△133p53の内在性遺伝子をhomoに破壊した肝癌細胞株である。2.上記の2つのp53アイソフォームのうち、まず△40p53の機能を明らかにするためにp53 △40/△40、p53 △133/△133に加え、我々がこれまでに構築したp53 -/-、p53+/△40内在性遺伝子破壊肝細胞株、p53 wild type肝細胞株(親株)とp53のhot spotに点変異を導入したnegative strand vectorおよびsiRNA法を用いて標的遺伝子(△40p53)をノックダウンした外来性遺伝子導入により△40p53機能を①細胞増殖能、②細胞周期、③アポトーシスに関して解析した。3.これらの解析により△40p53は、肝癌細胞において細胞増殖を抑制し、細胞老化を誘導することを世界で初めて明らかにし、J Cell Sci.で発表した。(J Cell Sci. 2017 ;130(3):614-625.)
2: おおむね順調に進展している
1.平成28年度の計画通りにCRSPR/Cas9システムを用いた遺伝子ターゲッティング法によりp53アイソフォームである△40p53および△133p53の内在性遺伝子改変肝細胞株を樹立することができた。2.△40p53の機能解析に関しては、計画通りに解析が進み、肝細胞癌における△40p53の機能を世界で初めて明らかにすることができ、論文発表をすることができた。(J Cell Sci. 2017 ;130(3):614-625.)3.△133p53の機能解析も△40p53の解析と同様に進行中である。
平成29年度の研究計画に基づき、△40p53および△133p53の機能と関連分子を探求するため、DNAマイクロアレイによる網羅的解析を行なう予定である。p53 △40/△40、p53 △133/△133に加え、p53野生型であるHuh1細胞株およびp53をノックアウトさせたHuh1細胞株においてUVによるinductionを加えたものと加えないものを検体として解析する予定である。
当該研究にかかわる論文(J Cell Sci. 2017 ;130(3):614-625.)の掲載費用の支払いが平成28年度の残金では不足したので研究者本人が立て替えて支払った。その掲載費用を捻出するためには平成28年度の残金と平成29年度の予算を合算する必要が生じたため次年度に平成28年度残金を繰り越した。
研究者が立て替えた論文(J Cell Sci. 2017 ;130(3):614-625.)掲載料に用いる。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
J Cell Sci
巻: 130 ページ: 614-625
10.1242/jcs.190736