研究実績の概要 |
2018年度は、前年度に解析を行った、C型肝炎ウイルスに起因する慢性障害肝を背景に発症した肝細胞癌組織の非癌部肝組織から採取したDNAを用いて、Methylation 450-BeadChipにてCpGメチル化サイトのDNAメチル化レベルを評価し、術後5年以上無再発症例群22例と術後2年以内に多中心性再発をきたした26例肝でのCpGメチル化サイトのDNAメチル化レベルを一般化線形モデル(GLM)により比較してDNAメチル化レベルに有意差(p<0.001)を認めたCpGサイト22か所を詳細に解析した。DNAメチル化レベルに有意差を認めた22か所のCpGサイトは、クロモソーム1,2,3,5,7,8,10,11,12,14,16,19,20に存在し、このうちConsistencyが認められた10か所のうち9か所は、早期再発群で低メチル化であり、これらの中で8個の遺伝子は、クロモソーム2のTRIM54,クロモソーム6のTENM2, クロモソーム10のAPBB1IP, クロモソーム14のSNX19, クロモソーム15のCLSTN13, クロモソーム17のOAS1, クロモソーム20のIRX5, クロモソーム22のSOX12であり、このうちTRIM54は細胞臭気や分化に関与、SNX19はインスリン分泌に関与、IRX5はTGF betaの作用抑制、SOX12は肝細胞癌の悪性化に関与しており、早期再発群で低メチル化である遺伝子8個のうち4個は発がんに関連した機能を有していた。一方、Consistencyが認められた10か所のうちわずかにクロモソーム10の1か所だけが早期再発群で高メチル化であった。一方、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)からの肝発がんモデルに関しては、STAMマウスと再度行ったコリン欠乏アミノ酸食モデルともに十分な炎症や線維化を作成できなかった。
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