研究実績の概要 |
日本人B型肝炎患者1,033例、日本人健常対象者942例のゲノムワイドSNPタイピングデータを用いてGWASを実施した。加えて、ゲノムワイドSNPタイピングデータを用いてHLA imputationを実施し、HLAアリルの推定を実施した。HLA関連解析の結果、3つのB型慢性肝炎になりにくいHLAタイプ(DPB1*02:01, DPB1*04:02, DRB1*13:02-DQB1*06:04)と2つのB型慢性肝炎になりやすいHLAタイプ(DPB1*05:01, DRB1*15:02-DQB1*06:01)が存在することを明らかとした(Nishida et al. Sci. Rep. 2016)。 上記の5つのHLAタイプの有無を説明変数に入れたHLA層別化GWASを実施したところ、ゲノムワイド有意水準に達する新たな遺伝子領域を同定することはできなかったものの、複数の候補遺伝子領域を検出した。現在も継続して、日本全国の共同研究施設からB型肝炎患者由来の生体試料(ゲノムDNA、血清)を収集しており、今後Replication解析を実施する予定である。 B型肝炎患者24症例を用いて、Illumina TruSight HLA Sequencing Panel(ver2試薬)を用いたHLAタイピング精度の評価を行った。HLAタイピングをAssignソフトウェア、Omixonソフトウェアで比較をしたところ、PCR-Luminex法を用いてタイピングした結果をReferenceとした際の不一致数は、Assighソフトウェアが4、Omixonソフトウェアが11であった。上記のB型肝炎になりやすいHLAタイプを有する症例の中で高齢にも関わらず慢性肝炎を発症しない症例の選択が完了しており、来年度にHLA seqを実施する予定である。
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