研究実績の概要 |
「目的」①モルモットの膵臓及び膵管からmRNAを抽出し、亜鉛トランスポーターの発現を検討した。②亜鉛欠乏がマウス単離小葉間膵管の水分泌に及ぼす影響を検討した。「方法」①モルモットの膵臓及び実体顕微鏡下で単離した直径約100 μm膵管からmRNAを抽出し、亜鉛トランスポーターであるZip(1,2,4,5,6,7,8,14)及びZnT1についてRT-PCRを行った。②C57BL/6マウスに、生後6週よりCA-1(高たんぱく粉末飼料、日本クレア)、8週よりCE-2(スタンダード粉末飼料、日本クレア)、9週から7日間CE-2又はF2ZnDD(亜鉛欠乏粉末飼料、オリエンタル酵母工業)を与えた。膵臓を摘出し、実体顕微鏡下で直径約100 μmの小葉間膵管を単離後、一昼夜培養した。両端が閉じて内腔に分泌液が貯留した単離膵管を、倒立顕微鏡のステージ上で、37℃のHCO3--CO2緩衝液で表層灌流した。経時的に明視野像を取得し、管腔内容積の変化から水分泌速度を求め、膵管上皮の単位表面積当たりで表した。「結果」①モルモット全膵では解析した全ての亜鉛トランスポータのmRNA発現が認められたが、膵導管ではZip2の発現が認められなかった。一方、膵導管で明らかな発現が認められたZip4は、全膵でのバンドは薄かった。②通常(亜鉛含有)食を与え続けたマウスの膵管では、forskolin(10μM)刺激下の水分泌速度は1.24±0.44 nl min-1 mm-2(mean±SD、n=3)であり、ZnCl2(10μM)を表層灌流液に加えると43.1±15.5%減少した(p<0.05)。亜鉛欠乏食を7日間与えたマウスの膵管のforskolin刺激下の水分泌速度(0.91±0.05、n=6)は通常食に比し有意に(p<0.05)遅く、ZnCl2を表層灌流液に加えると66.6%±7.8増加した(p<0.05)。
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