研究課題
本研究では、癌細胞の浸潤転移を抑制する因子として同定したbinder of Arl Two (BART) タンパクが、低分子Gタンパクに対して特異的にGAP機能を持ち、さらに直接的にRho GTPase family に属するRac1とRhoAタンパクの活性調節を行うことで、GAP機能依存的に膵癌の浸潤転移抑制に関与する作用機序を、分子生物学的に解明する。将来の膵癌浸潤および転移を抑制する新規創薬のための基礎医学的知見を得ることを目的とする。本年度は、N末から約30アミノ酸毎に相当するRac1およびARL2由来GST融合タンパクを精製し、ヒト膵癌細胞株のライセートと混ぜ合わせてプルダウンを行った。抗BART抗体でウエスターンブロットを行い、BARTと結合するRac1およびARL2由来GST融合タンパクを同定できた。同定した30アミノ酸に相当するペプチドを合成し、平成29年度の研究計画を進める予定である。
2: おおむね順調に進展している
予定していたBARTとRac1およびARL2との結合を阻害するペプチドの作成の段階に研究が進行しており、予定通りである。
BARTとRac1およびARL2との結合を阻害するペプチドが、膵癌細胞の浸潤・転移能を変化させるかをヒト膵癌細胞を用いて詳細に検討する予定である。
研究計画は順調に進行しているが、抗体購入とリコンビナントタンパク質作成時のキット費用が予想より低く抑えることができた。
次年度使用額は平成29年度の実験計画を実施する際に適正に使用する。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
Hepatol Res
巻: 46 ページ: 1409-1415
10.1111/hepr.12701.