研究課題/領域番号 |
16K09406
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中村 正直 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (60467321)
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研究分担者 |
後藤 秀実 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10215501) [辞退]
川嶋 啓揮 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (20378045)
廣岡 芳樹 名古屋大学, 医学部附属病院, 准教授 (50324413)
宮原 良二 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (50378056)
渡辺 修 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (80378059) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 透過性 / 腸炎 |
研究実績の概要 |
前年から継続し、腸粘膜透過性研究において対象患者のリクルートとヒト腸上皮の採取を優先した。当院においては多くの小腸大腸の炎症性腸疾患、過敏性腸症候群の患者が通院し定期的もしくは増悪時に消化管内視鏡検査、特に小腸内視鏡を受ける。炎症性腸疾患などでは粘膜関連細菌叢が上皮透過性と関連が深いことにも着目して、粘膜関連細菌叢も採取し、臨床診療内で腸炎患者に説明し研究への参加を促した。小腸または大腸内視鏡を行う際に、研究の同意を文書で得たうえで各消化管部位の生検検体と、膵擦過診用ブラシを用いて腸粘膜の表面の粘液を採取、その後に次世代シークエンサーによる細菌叢解析も試みた。クローン病においては便サンプルにおいて活動期と寛解における便中の細菌叢が異なることが示された。投与薬剤の種類によっても腸透過性が異なる可能性も検討したが細菌叢において使用薬剤別には差がなかった。ただし解析量が少なく、今後もサンプルを増やして解析する必要がある。人の生検検体による実験のみでは成果に限りがあると判断し、上皮透過性異常をきたす急性腸炎モデルマウスにおける再生因子投与の有効性、有効成分を検討することも試みた。C57BL/6Jマウスに、2.5%DSSを自由飲水で5日間投与し急性腸炎モデルを作成、歯髄から採取した再生因子と、マウス鼠径部皮下脂肪より単離した間葉系幹細胞からの精製液を薬剤開始2,3,4日目に0.2mlずつ腹腔内投与した(1回,2回,3回投与の比較を行った)。コントロール群には同様にPBSを0.2mlずつ投与した。臨床効果として生存率、体重減少率、DAI(Disease activity index)を評価した。薬剤投与開始6日目での腸管長を測定し、組織的評価を行った。各再生因子は単回投与よりも複数回投与により投与時間が長いほど効果があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
生検検体の確保に時間を要した。侵襲を伴った介入研究として以前からの継続研究を行っていたため、その内容を踏襲し研究を継続したがエントリーが少なかった。腸管膜透過性とのかかわりが強いと思われるクローン病、潰瘍性大腸炎と腸透過性、腸内細菌叢の関係につきエントリーを募ったが全ての種類の検体が集積できず、今後エントリーの継続が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度であるためエントリーを早めに終了し、腸膜透過に関わる粘膜因子、細菌解析含めその各々の病態の差を検討できるよう努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
患者のリクルートが遅くなり試薬や生検採取物品の購入も遅れたため。使用計画として、追加実験の試薬と論文の英文校正、掲載費用を計画する。
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